半分だけ見るつもりだったけど一気に最後まで見てしまったよ。
にしてもてっきり霧とくっつくと思ってたのに……
いや一度は霧とくっついたと言えないこともないけど。
再び霧から告白して今度は浩樹も断らなかったみたいだし。
で、なんとなく恋人同士の「ような」関係になって。
しかしそれが逆に物語の行方をわからなくしてしまった。
これはもしかすると最後にひっくり返る可能性もあるなと予感した。
物語の最後の最後までどちらに転ぶかわからない。
この構成って恋愛ドラマとしては常套手段だったする。
途中で結末が見えてしまったら視聴者の興味をそいでしまうし。
だからギリギリまで結末を見抜かせないように構成するのは大事です。
エロゲーアニメの三角関係でこの構成なの今まで一つもなかったけど。
D.C.も君望も三角関係とは言っても選ぶことはメインじゃなかったから。
(最初から答えが決まってる状態で物語が展開していくし)
最後の大きなイベントがクリスマスなのは恋愛ドラマとしては王道だね。
ラストが空港のロビーで見送るシーンなのもあまりにお約束だし(笑)。
霧との別れのシーンが線路の反対側のホームなのも象徴的だし。
※二人の道が別たれたという意味
道路が渋滞で空港の出発に間に合いそうになくて走ってみたりとか。
恋愛ドラマのパターンをこれでもかというぐらいに使ってるのでした。
あまりにコテコテなので話が盛り上がってるのに苦笑いが……
最後の大きなイベントにはもう一つの大きな特徴が。
それはクリスマスという一点の時間に向けて物語が収束するところ。
映画などでは盛り上げるために一点に収束する手法をよく使うけど、
テレビの連続ドラマでその手法を使うのはあまり見ないっすね。
ここ数年に見たテレビアニメでその手法を使ったの他はスト4ぐらいかも。
わりと淡々と進む物語だからこそ最後に大きな花火を上げたって感じか。
この作品は浩樹が最後にエリスを選ぶ展開になってるけど、
実のところ最後の最後まで霧を選ぶ可能性もあったわけです。
仮に霧を選ぶ展開にするとしても今と大差ない構成で成り立つし。
と言うか浩樹が選んだのは霧よりエリスではなくて絵って感じ。
絵を選んだら副賞でエリスが付いてきたようなもんです(おいおい)。
原作ゲームだと絵を選ぶとエリスで先生を選ぶと霧になるとか!?
でも浩樹が絵と霧を両方選ぶのも十分にありだと思うのです。
空港で絵を渡して「オレも頑張るからエリスも頑張れ」とかね。
上に「最後の最後までどちらに転ぶかわからない」とか書いたけど、
実はこのラストになる予感は途中からなんとなく有りました。
例えば霧が再び告白した時に浩樹の返答をハッキリ見せないとか。
(たぶん断らないという消極的な受け入れだったのでは)
なんで最初の告白を断ったかも結局は出てこなかったし。
霧を選ぶなら(原作になくても)絶対そこは外さないと思ったし。
浩樹と霧が付き合ったのを知ってエリスは一人で前へ進もうとするけど、
浩樹はそれを手放しで喜ばないで複雑な心境で見守ってたし。
恐らく決定打になったのは病院のベットで一緒に寝たことだろうなと。
(一緒に寝たと言っても布団に入ってるだけ)
もしやエリスを選ぶのか?今さら気づくとはニブ過ぎだろお兄ちゃんよ!
とこの瞬間かなり確信に近い未来予想図が浮かんでしまったとさ。
この作品は恋愛ドラマであると同時にエリスの成長物語でもある。
事故のトラウマを乗り越え赤い色を使った絵を描けるようになるし。
浩樹に振られたことを受け入れてく過程で精神的にも大きく成長した。
最初は無邪気だったエリスが失恋後に大人びたのが凄く印象的だよ。
ケラケラと笑うエリスはそれはそれで可愛かったんだけどね。
さらに浩樹と霧が付き合ったのを知って一人立ちをしようとするし。
考えてみたら霧の登場によって自分の感情の正体を自覚したわけだし。
なんか霧はエリスの成長のための狂言回し役になってるような……
エリスが最後にはちゃんと料理までできるようになったのには驚いた。
1話で凄い味の料理を「なになに美味すぎ?」と言ったエリスがだよ(笑)。
(こーゆー生っぽい喋りかたをするエロゲーアニメは他にはない)
学園祭のオムレツも見た目はマシになったけど味はなんか凄そうだし。
あそこでいきなり完璧に作れるようにはならないのがリアルだね。
しかしいつまでも浩樹に甘えてちゃダメだと頑張って結果を出してる。
料理の腕前の変化をエリスの成長の象徴にしたのは実に親切だなと。
表情とか態度の変化は気づかない人でも絵と料理の変化はわかるだろうし。
互いに寄りかかった関係ではなく一人立ちして結ばれるのが印象的かも。
前半の展開は浩樹とエリスに霧が絡んで、後半は浩樹と霧にエリスが絡む。
そして最後の最後までどちらに転ぶのもありえるストーリー展開。
そこから、もしかして原作のエリスと霧のシナリオを混ぜたのかな?と。
前半と後半でウエイトが多少変わるものの二人は均等に扱ってるし。
そもそも原作のストーリーをちゃんとトレースしてるという保証はないが。
原作のシナリオと言えば。最終回に朋子も手術のため飛行機で旅立つけど、
最後のシーンで「さよならエリスちゃん」「さよなら病院のお兄ちゃん」
なんて意味深なセリフを残して死んでしまうように見える(真相は略)。
ぶっちゃけてこのシーンは物語的には無くても全く問題がありません。
しかしこの意味深なセリフでゲームの設定がなんとなく想像ついたりして。
よーするに朋子はエリスが入院してた病院で浩樹と出会ってたんだなと。
(2話のエリスの病院のシーンにさりげなく出てたりする)
そして朋子のシナリオだと実は昔から好きだったみたいな展開に!?(笑)
あの口が悪くて態度も悪い朋子が本心では昔から浩樹が好きだったと!?
なんとキサマはツンデレだったのか!!!!(爆)
※今確認したらPS2版で追加されたキャラらしい
まぁ、アニメだと口は悪いけど友達想いという現実的なキャラだけど。
他のサブヒロイン(?)について。
前半に当番回が3人分あったけど後半にも2人分ありました。
後半は浩樹と霧がストーリーの中心なので大人組が絡んでる。
そしてこちらでも16話の杉原紫衣(しえ)は浩樹ではなく霧と絡んでる。
※紫衣と霧は大学の先輩と後輩の関係
さらに全体のストーリーの構成として意味あるエピソードでもあるし、
関係の深いキャラも一緒に出るのでやっぱり当番回って感じが薄いです。
オープニングにもピンで出て全編で結構目立ってた部長(竹内麻巳)さんは
エリスに優しいことや厳しいことをいっぱい言ったけど当番回は無かった。
あんだけ目立ってて印象づけてれば当番回なんかいらんだろって感じですか。
それにバイクに乗れるって設定を使ってクライマックスに活躍してるし。
てゆーかここであのバイクを使うのか?と思ったらホントに出てきたし。
お約束を徹底的に積み重ねてることにちっと眩暈が(笑)。
1話でさりげなくエピソードに絡んでた副部長(田丸ひかる)さんは、
端役以上サブヒロイン未満な扱いだけど17話の名演技が印象的だったなと。
浩樹に内緒でパーティの準備をするために教室に引き止める役をやるけど、
目薬を使って涙ながらに訴えてみたり、抱きつきながら時計を見てたりして。
演技とは知らない浩樹を翻弄してる副部長さんのしたたかさが楽しかった。
ここに限らず何気ない日常でのキャラの表情が豊かなのでキャラが生きてる。
何も衝撃的な展開でしかキャラの表情が描けないわけじゃないってことさ。
D.C.だって後半の印象が強いだろうけど前半から表情描写は絶妙なわけで。
(表情描写が絶妙だから後半の展開が劇的に効いてるだけ)
てなわけで結構面白かったよ。
恋愛ドラマとして、そして成長ドラマとしてちゃんと作ってあるし。
世間的な評価などは知らないけど、どーせ他人事だし。
絵は途中あたりからわりとバラついてるけどこの程度なら許容範囲だから。
キャラがちゃんと生きてて、恋愛ドラマをしてて、絵がそれなりなので、
あまりエロゲーアニメっぽく見えないけど。それはいいのか悪いのか。