タイトルがわかりにくいとちまたで評される作品。
「アンダルシアの夏」だけで良かったんじゃないの?
「茄子」は原作のタイトルなので尊重したんだろうけど。
ちなみに原作は青年誌のマンガで1巻だけ読んだことあります。
表題である茄子をモチーフにした読みきりのシリーズで
この映画の原作であるアンダルシアの夏はその中の1篇になります。
(1巻に収録されてる)
内容はよーするに自転車ロードレースです。ほぼそれだけ。
まるでマラソンとかのスポーツの実況中継のような構成で。
それを競技してる本人の一人称視点を中心に据えて描いてる。
レースの舞台で主人公の出身地でもあるアンダルシア地方の風景や
主人公に近しい人たちの表情を兄の結婚式に絡めて濃厚に描写してる。
シンプルな物語の骨組をじっくりことこと煮込んだスープな感じ。
ほとんど自転車レースのみだから自転車に興味がないと厳しい、
かというそーでもない。むしろ初心者にとっても優しい構成です。
実際の中継だとスポーツにおける攻略パターンみたいなのは
分かってる人が見ないと分からない部分が多々あったりするけど
絵にすることでパターンをハッキリ目立たせられるから。
集団が斜めに列になって先頭が順々に入れ替わるトコなんかまさにそれ。
風の抵抗を少なくするために誰かの後ろについたほうが有利だけど
前が疲れて落ちると結果的に自分が困る。運命共同体な集団なわけで。
自転車レースのシロウトでもこの映画を見終わった頃には
そのへんの基礎知識が身についててしまうという素晴らしさ!?
ディティールへの徹底的なこだわりがこの作品の全てといっていいかも。
レースで人物を描くとか、勝負の勝ち負けとか、そのへんは枝葉で。
よーするに自転車レースそのものが主役ってコト。