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よみがえる空 -RESCUE WINGS- 1~4話

1月からテレビ東京系(6局)で月曜日の深夜に放送中の新番組。
AT-Xでもやってるので地上波で見れない人はそちらで。
内田一宏は小さい頃からジェット戦闘機のパイロットになる夢を抱いてた。
しかし夢を叶えるべく入隊した航空自衛隊で彼は救難ヘリのパイロットとして
小松基地のレスキュー部隊・小松救難隊に配属になったのであった。
夢とは離れてしまったけど、就任先の先輩が鬼軍曹のようだったけど、
現実に向き合い与えられた仕事をしっかりこなして行こうと思ってた。
そんな彼が職場に慣れるまもなく小松救難隊に出番がやって来る。
いちおー見学という面目で現場に行った彼が見たのは厳しい現実で
さらに気をきかせたつもりの行動が思わぬ事態を引き起こしたりして。
一度折り合いをつけたはずの気持ちが激しく揺らいでしまうのだった。

これは前にちらっと書いたけどガンパレ(1作目)のスタッフが作ってます。
白っぽいソフトフォーカス気味の画面で緻密に空間を構築をしてるのが
この監督(桜美かつし)さんのいつもの画面の作りかたって感じっすね。
さらに今回はCGが質感やモーションも含めてめっちゃハイクオリティで
えらく緻密な空間描写とあいまって物語世界にとっても説得力があります。
なんかガンパレ2作目のスタッフとは格が違うよと言いたげな見た目の差(笑)。
もちろん格が違うのは見た目(映像)だけではないのでした。

物語の始まりから丁寧に空間と人間を描写してて。
でも何も起きない落ち着いた現実を淡々と描いてて。
なんかえらく渋くてストイックな作品だなと思ってた。
そんな何も起きない展開はちょっとした地震によって破られる。
「ちょっとした地震」というのはあくまで主人公にとっての話
(東京に住んでるとこの程度は、また地震?ぐらいな感じだし)
でも職場から召集がかかりテレビに速報(最大震度6)が入るに至って、
ああこれでいきなり厳しい現場に直面するんだと想像できました。
その後の状況と落差を際立たせるためあえて平穏を強調したんだなと。
もちろん想像通りの(むしろ想像以上の)厳しい展開が待ってるんだけど。
このあたり物語構成のセオリーをきちんと押さえてて感心したよ。
ある意味教科書通りなんだけど、そのレベルに達してるの少ないし。

救難隊の最初の仕事が地震の震源に近い現場と言うのは
地震国日本ならではのとても現実的で皮膚感覚に添った内容だなと。
被害の状況から考えてほぼ震源の真上だと思われる島が救援の舞台で
見た感じでは福岡の地震の時の玄界島がモデルになってるような。
※あの規模だと震源にごく近い地域しか震度6にはならない
学校の校庭にヘリが着陸したり、空中のまま被害者を吊り上げたり、
実際に災害の中継で目にする場面を引用してるのも説得力を補強してる。
映像表現がリアル系で仕掛け映像を全く使わないので実写志向っすね。
題材的にも深夜でアニメより実写で夕方やった方が受けそうな感じだし。
(実写でこれだけの映像を作るのは予算的に厳しいだろうけど)
と言うか深夜アニメを見る層はこれ面白いんでしょうか?
あまりうけるとは思えないけど、ワタクシ的には凄い良かったよ!
あえて茨の道を進んだプロデューサーやスタッフに喝采を送りたい。
※これのプロデューサーはスト4と同じ人だったり

ストーリーに話を戻して。
主人公がいきなり厳しい現場に直面して、さらに自分の行為が原因で
緊迫した展開に陥るわけです。これ自分が原因なのがポイントです。
被害者の状態に自分が関わってるからこそより切実で必死になるわけで
ここで助けようとあらゆる手を尽くす主人公に感情移入してしまうのです。
刻一刻と状況は悪化していくし、次から次へと困難にぶち当たったりして
でも頭をひねったりみんなの助けを借りたりしてなんとか目的地へ。
病院に直接降りろという指示が来たけど、停電で街は真っ暗で、
だけど地面に一筋の光があって、そこが病院だった、の部分は涙が出た。
(ネタバレなのであえていろいろ省略して書いてあります)
渋くて、ストイックで、でもここぞという瞬間はドラマチックに感動的。
なんともストーリーの組み立てが上手いっすね。

停電した街の地面に一筋の光ってダフネの16話でもやってたよ。
ネタパクリと言うかそもそも脚本が同じ人(高山文彦さん)ですけど。
4話の水上清資さんはダフネのシリーズ構成(脚本チーフ)だし。
こんなところでダフネの脚本陣の実力を実感してしまったり。

その4話。
いきなり厳しい現場で重い現実を突きつけられて落ちこんでた主人公。
そこに東京で就職した彼女が尋ねてくるんです。
と言っても何の理由もなく訪ねてきたわけではなく3話の最後に伏線が。
ここで彼は彼女に地元を案内するんだけど、小松には何もないからと
わざわざ金沢に出て東京みたいだろと案内したのには、呆気にとられたり。
だって東京から来た人間が東京みたいな街を見たいわけないじゃん!
それに気づかないほどその時の彼の精神状態は余裕がなかったわけで。
せっかくのデート(?)中に喧嘩みたいな状態になってしまうし。
抱いたらいつもの一宏に戻ってくれるのかな」ってセリフが痛いよ。
ここでの彼の行動は甘ったれてると言うかいい大人とは言い難かったけど、
彼女のあるセリフと行動がきっかけで気づくのでした。自分の問題に。
(この後彼女に小松をあらためて案内するのだった)
このままの状態だったらどうしようと思ってたから気づいて良かったよ。
と言うかきちんと自覚していくプロセスが描かれてて感動した。
3話までのストーリーといい4話の恋人関係といい脚本が素晴らしいね!
見た目のクオリティよりも脚本のデキこそ特筆すべき作品ですな。

ところで
緻密なこの作品だけど地震オタクとしては1ヶ所だけ指摘したいとこが。
それは1話で地震が起きた時にテレビで流れた速報のテロップ。
作中「×時×分北陸地方で大きな地震がありました」って流れるけど
ここの表現は「強い地震がありました」だと思われます。
これってたぶんどの放送局も同じ表現を使ってるんじゃないかと。
(各社統一のガイドラインみたいのがあるのかも)

さらに細かい話になると、実は最大震度によって表現が違ったり。
まだ震度が出てない場合及び最大震度3以下の場合は
「×時×分北陸地方で地震がありました」(形容がつかない)
最大震度4の場合は「やや強い地震がありました」になって
最大震度5になると「強い地震がありました」になるのです。
最大震度6は滅多におきないので今ひとつ確証がもてないけど
確か「とても強い地震」か「かなり強い地震」だったような。
つまり速報の最初の表現を見たただけでどの程度かわかるのでした。
(地震の速報テロップをよく観察してるとわかるよ)

もうひとつ蛇足な話。
この作品はなぜかガンパレの1作目とスタッフに共通点が多いです。
そしてガンパレの続編がほんの1クール前から放送してたりもします。
さらにどちらも製作してるのはバンダイビジュアルです。
って情報からあるひとつの仮説が思い浮かんだりして。
もしかしてガンパレの続編をやるためにこのスタッフを集めたのではと。
だけど何か理由が有ってガンパレの続編をやらないことになったとか。
例えば続編の設定がアレだったからとか。あくまでも勝手な推測ですが。

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