2005年に公開された劇場用アニメ。DVDレンタル。
去年テレビシリーズも放送されたAIRの劇場版です。
前にも書いたけどテレビシリーズと原作ゲームは当然のように同じだけど
製作・制作スタッフが全く別なので兄弟のような関係の作品だったりして。
すでに一部とはいえテレビシリーズになった作品を見ていたので、1クールの
内容を1本の映画にまとめられるのか?と言うのが一つの懸念材料だった。
けど実際に作品を見てその懸念は全くの杞憂だったことを思い知ったよ。
と言うかこの劇場版のAIRならば間違いなく傑作だと言いきれます。
見る前は出崎(統)さんとエロゲー原作の組み合わせの激しいミスマッチ感に
いったいどんなものが出てくるのかと戦々恐々だったわけで(笑)。
さすがに出崎さんだわ。今でも有象無象の敵わない凄い力量を持ってる。
しかし出崎さんって今いくつだろ……
※「エースをねらえ」「あしたのジョー」「ガンバの冒険」等の監督さん
テレビシリーズのストーリーが原作にわりと忠実だと仮定すると
劇場版は大まかな展開は原作を踏襲しつつ大胆に再構成してある。
テレビでも重要なキーになるシーンは違った形で再利用してたりするし。
多少設定を変えて過去と現在をオーバーラップするように描いてたり
見る者をぐいぐい引きつけるようなドラマチックな構成になってる。
劇場版を見た後に比較の意味もこめてテレビ版を最後まで見たけど
よりいっそう劇場版のストーリー構成の上手さを実感することに。
正直なところAIR初心者はまず劇場版から見た方がいいと思う。
テレビシリーズは初心者だと途中で投げちゃう危険性があるから。
作品の映像面に関して。
恐ろしく気合の入った描きこみのテレビシリーズがあったので
劇場版の絵でもさほどパワーアップした感じはないかも。
でも白飛びしちゃうほどの強烈な光と影の表現だったり、
意外なレイアウトや変形したパースの仕掛け映像を使ってみたり、
動く絵と止めの絵のメリハリを極端につけたり(出崎さんの十八番)と
映像センスとしてはテレビシリーズより格が上って感じだよ。
テレビ版では希薄だった世界の実体感もしっかり表現できてるし。
(テレビ版は描きこみは凄いがなんか現実味が希薄なので)
よく動くことや描きむことだけが素晴らしい映像だと思ってるなら
テレビシリーズの方が上に見えるかもしれないけどね。
つーか時間あたりの動画枚数はテレビシリーズの方が上かも(笑)。
そもそもDVDの価格を考えるとテレビ版の方が時間あたり予算は上!?
ストーリーがテレビシリーズと違って再構成されてると書いたけど
実はキャラ描写もテレビシリーズとは多少違うのでした。
テレビ版の御鈴は不思議系というにはちょっと変すぎで幼すぎたけど
劇場版では年齢相応っぽい現実的で少し不思議なキャラに修正されてるし。
テレビ版の他の(変な)ヒロイン達も丸っきり存在を抹消されてるし(爆)。
ちらっと出てくるクラスメートも劇場版はリアル系のキャラだし。
晴子さんも見た目も含めてもう少し落ち着いた感じになってる。
キャラデザインも原作の印象を残しつつ大幅にバランスを修正したので
いわゆる美少女(エロゲー)モノっぽさがほとんど無くなってます。
美少女モノの見た目やキャラ描写の不自然さは初心者には厳しいので
まず劇場版から見た方がいいと言うのはそう言う意味でもあるのです。
これを見た後ならテレビシリーズの方も見ようという気になるから。
多少見た目がアレだとしても(爆)。
つーかそもそも現状では劇場版しかレンタルが出てないし……
テレビ版はいったいいつになったらレンタルするんですか?
ここでテレビ版と劇場版でどこが違うかいくつか書こうと思ったけど
あまりネタバレするのもなんなんで自分の目で確かめてみてください。
と書いて二日経ってやっぱ気が変わったので書きました。別に。
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あ、ふと書くことを思い出した。
劇場版のストーリーのテーマはテレビシリーズとは(たぶん原作とも)違い
出会って(まさに)命がけで人を好きになるみたいな感じになってる。
そして現代とシンクロする過去が平安っぽい雅な雰囲気だし。
なんだか少女マンガっぽい内容だな~~とか思いつつ見てました(笑)。
(テレビシリーズだとそんな印象は微塵もありません)
たぶんこれ君望と同じく恋愛モノが好きな人の方が面白いと思う。
エロゲー原作とか美少女モノとかそのへんは意識しないでも大丈夫です。
しかしまぁ、Amazonのレビューはボロクソだね(笑)。
脚本のデキはこっちの方がテレビ版の100倍いいのだけど
原作とあまりに違うから評価対象ですら無いって感じで。
※テレビ版の方にもいろいろ書いてあります。