1月からAT-X(のみ)で深夜に放送してた全12話の新番組。
各バンダイチャンネルで有料配信中です(最新話無料配信は終わりました)。
原作は青年誌(コミックハイ!)のマンガで1巻だけ読んだことが有ります。
※レンタルDVDはセルDVDとほぼ同時リリース(2巻までリリース済)
中学校の入学式で新入生代表で挨拶をするほど成績優秀な葉山奈由は
下着のデザイナーだった祖母や兄の影響もあって下着が大好きだった。
同級生が驚くような大人な下着をつけていて酷い誤解を受けたりもした。
過激な下着で男を誘惑するためだとか。影で援交をしているのだとか。
奈由はただ素敵な下着が大好きで装えることが楽しかっただけなのに。
みんなに下着の素敵さや下着の大切な役割を伝えたかっただけなのに。
そんな思いから奈由は理解ある友人たちと下着同好会を作ることに。
とりあえず、よくこんな扱いの難しい作品をアニメ化したなと思った。
中学生女子の下着が乱舞する作品を放送できる枠はほとんど無いのに。
唯一のAT-Xの放送ですら視聴年齢制限がつけないと無理だったろうし。
(「こじか」は視聴年齢制限を嫌ってAT-Xで放送しなかった)
でもだからと言ってエロ目当てで見るような作品ではないわけで。
もちろんエロ目当てで見てもいいけど、あまり満足できないと思うよ。
あくまでも当事者が自分たちの下着について知っていく内容なんだし。
男のエロい視点で下着を見るフェチくさい内容にはなってないから。
男子は知らない女子の事情を知るところが興味深いという方向性だし。
あえて言うなら切実な事情を知ることでそそられる部分も有るような。
このアニメの原作が載ってるコミックハイ!というマンガ雑誌は
男性向け少女マンガなる珍妙なコンセプトだと何度か書いたと思います。
で、この作品に関してですが、男性向け!?少女マンガって感じだったり。
下着のつけ方とか下着の意味や役割を丁寧に説明してる内容だから
当事者の女子中学生か小学生(高学年)に見せた方が意味ありそうだなと。
そのへんの人はアニメ放送の視聴年齢制限に引っ掛かってたけどな(爆)。
ついでに言うとそのへんの人はこれを進んで見たいとは思わないかも。
中学生日記みたいな作品だし(笑)。見たら楽しめる可能性は有るけど。
少女誌に載せるのは難しくて、かといって青年誌でのニーズも未知数。
そんなチャレンジャーな作品を載せるとこがコミックハイ!らしいね。
女性の下着を扱ったマンガと言うと他に「甘い生活」(弓月光)という
コミックスが37巻も出てる作品があったりします。
テーマがテーマなのでこの作品同様に下着姿や裸がてんこもりです。
違い有るとすると男性作家なのでこれよりずっとエロくさいとこかも。
主人公(男)が採寸のため触っただけで触られた女性は感じちゃうとか。
この主人公は天才的な女性下着のデザイナーで魔法の手を持ってるけど
女性の裸を見ても全く欲情しないという性欲が欠落した人なのです。
そんな特徴的な設定を持ったエンターティメント性の強い作品です。
対してこちらは当事者の話なので等身大で切実なのがポイントっすね。
日常の延長線上でいかにもお話って感じの内容にはなってないのです。
実際に下着同好会を作ろうなんて人は現実にはまず居ないでしょうが。
下着が好きで追究する人は居るだろうけど大っぴらにはしにくいから。
理屈で言えば現実に有っても不思議はない、でも現実には存在しない。
そんな微妙な線を描いてるから説得力があってインパクトも有るのです。
現実の延長として描いてるから下着が乱舞するわりにエロくないのです。
アニメも原作のテイストを見事に再現してるのであまりエロくないです。
やたらと下着が乱舞してるし場面転換のワイプなんてパンツなのに(笑)。
同じコミックハイ!には「女子高生 (GIRL'S-HIGH)」(大島永遠)という
女性視点の明け透けな内容を描いた作品がかつて掲載されてました。
※このアニメに登場する「セレ部」はそこから持ってきたネタ
4年ほど前にアニメ化されてるので知ってる人もいると思われます。
で、そのアニメですがスタッフのせいで原作とはずいぶん違うものに。
内容がアレンジされて台無しになってるとかそういう意味ではなく、
男性視点になってて原作の明け透けさがすっぽり欠落してたわけです。
かわりにあざといエロ視線がやたらパワーアップされてたりもして。
明け透けなのにエロじゃないのが面白いとこなのにとガッカリしたよ。
でも今にして思うとその方向は売るためには正しかったのかもしれない。
原作のテイストを完璧に再現しちゃったこれを見るにつけそう思います。
※このアニメはコアスタッフが女性ばかりです
サービスシーンも結構入れてあるんだけど、焼け石に水って感じで。
ああ、これじゃ売れないだろうなと……
私はこの媚びない作り方のほうが好きだし、大いに評価してますが。
原作とアニメの違いについて。
アニメを見た後に手元にあったコミックスの1巻と比較してみました。
ざっと見比べた感じでは細部が多少違うけど大筋で原作に沿ってました。
1巻分に関しては原作の2回分がアニメの1話にキレイに対応してますね。
1話だけ原作の2回分の内容を組み直してあるのが目立つ違いかなと。
階段を落っこちるシーンと遥のブラのシーンは原作だと別々だから。
助けたことで打ち解けて誤解が解ける流れはアニメでの再構成なのです。
この効果的な原作の再構成の手法はいかにも吉田玲子さんらしいなと。
※シリーズ構成も(けいおん!!をやってる)吉田玲子さん
いじわる三人組の存在感と陰険っぷりも凄くパワーアップしてますな。
特に好きな先生が奈由の下着によろめいて逆恨みって説得力が有りすぎ。
(原作の1巻にはそんな理由は出てきません)
遥の大きな胸のコンプレックスの描写も凄く切実に掘り下げられてるし。
4話のモデルになることを躊躇するあたりは原作だともっと簡単なので。
原作よりもアニメの方が印象があっさりしてる部分も有ります。
原作は結構ドロドロしてると言うか、ベタベタっとしてると言うか。
このドロドロっとした描写があまり好きになれなくて……
内容は意欲的だとは思ったけど積極的に続きは読まなかったのです。
対してアニメは表現がポップで勢いが有ってメリハリが効いてるので
より深いキャラ描写をしてるのに原作よりも見やすくなってる感じで。
内容は知ってて期待もそこそこだったけど、予想以上に面白かったよ。
売りにくい作品という印象は見る前も見た後も変わらなかったけど。
原作では読んでなかった分の6話に登場する清乃のスタンスも面白い。
奈由にとって下着とは(服の一種だし)自分が着ることが楽しいから。
そして体型を整えたり敏感な部分を守ったりする意味があるからで。
あくまでも自分にとっての楽しみや必然性を持った存在なわけです。
対して清乃は男に見せるため(誘惑)の下着という考え方を提示する。
例え機能性を損なっても相手を欲情させる下着があってもいいという。
下着にはそんな側面も大いにあるし、実際そういう下着はあるわけで。
奈由みたいに男の視点が欠落してる純粋な感覚のほうが稀だと思うよ。
でもあえて純粋な視点で下着の魅力や意味を最初に語ったのでしょう。
そして物語の土台が整ったところで本来あるもう一つの視点に言及する。
いかがわしいと言われる理由であるそこにあえて言及したのは凄いなと。
正直言ってこの作品がここまでしっかりした内容だとは思わなかった。