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[小説] とらドラ! 1~7巻

アニメがそろそろ佳境(次回が最終回)になろうという今日この頃。
何度も見返してたらすっかり気分が抜けなくなってしまいました(笑)。
サントラは無限リピート中だし、楽曲リストはもう作っちゃったし、
他に何か浸れるものはないのか!と原作にまで手を出してしまいました。
放送終わったら読もうかなと、読んでもいいとは思ってたんですがね。
我慢できなくなって放送済みの分だけでも読んでしまうことに。
実は既に10巻(最終巻)まで買ってあって7巻まで読み終わってたりして。
原作とアニメの内容の違いもそこまでほぼ把握しました。
(8巻と9巻もざっと内容の確認はした)

と言うわけで原作の印象も含めてそのへんにざっと触れておきます。
実は前回凄い長い時間かけて書き続けて終わらなかったものです(汗)。
収拾つかなくなってたので内容を整理して構成しなおしました。
原作とアニメの詳細な比較は気が向いたら改めてやるかもしれません。
(ハルヒもやろうとか思いつつ結局やらなかったけどな)

まず原作を読んでの感想はアニメは思ってたより原作に近い、かな。
ライトノベルの1巻は頁数にもよるけどだいたい3~4話程度は必要で、
だけどこのアニメでは1巻分が2話で終わると言う話を耳にしてたので。
てっきりもっと原作から中身を削った感じになってるんだとばかり。
確かに削っては有るんだけど筋はかなりきちんと再現されてるので、
よく2話で収まったものだと逆に感心してしまったぐらいです。

ちなみに原作とアニメの対応はこんな感じになってます。
1巻→1~2話、2巻→5~6話、3巻→7~8話、
4巻→9~10話、5巻→11~13話、6巻→14~16話、
7巻→17~19話、8巻→20~21話、9巻→22~23話。

上のリストを見てもらえばわかる通り1巻がほぼ2話で構成されてます。
そしてどうやらアニメで最後までやるつもりらしいのもわかります。
と言うか物語の最後までやるのが制作の大前提だったんじゃないかな。
中盤以降の展開を考えたら中途で投げないその方針は正しいと思うし、
たぶんそれが原作者の希望でもあったんじゃないかと思った。
最後までやる前提で構成してあるから1巻がほぼ2話配分なんだろうね。
この作品は途中の内容を削りようが無いので全体を圧縮したのでしょう。

原作からアニメだとあまり重要でないシーンが削られてたりもしますが
多くはセリフのやりとりを整理することで内容を詰めてるみたいです。
原作を読んでてアレ?ずいぶんセリフが多いなとか思ったぐらいだし。
このセリフをそのまま全部映像化したら相当くどそうだなと思ったり。
(ローテンポで喋りまくってウザイことになってる作品も有ったっけ)
あと小説は全て言葉で説明しなきゃいけないので冗長でも有るかも。
これは原作はセリフが多くてダメという意味ではないので念のため。
小説は言葉を連ねることで魅せる媒体なのでこれはこれでいいのです。
むしろこのセリフの多さは作品の魅力の一端だしクセになる面白さだよ。
(アニメのキャストで脳内で喋らせるととても楽しい)
でなきゃ他のことを(いっぱい)放置して一気に読んだりしないさ。

つまり原作とアニメのセリフの量の違いは媒体の特性の違いなのです。
アニメは視覚で雄弁に説明してしまえる映像の特性を最大限に利用して、
セリフや説明(語り)を贅肉を落とすみたいに整理してしまったのです。
だからセリフが大幅に減ってるわりにそれほど内容が違わないのです。
ただその削り落とした贅肉こそが小説っぽい要素とも言えるわけで。
キノやハルヒみたく小説が原作だと実感できるようにはなってません。
(ライトノベル原作で小説っぽさを感じるアニメって滅多にないが)
恐らくこの作品の本質は小説っぽさではないと割り切ったのでしょう。

アニメで小説っぽい雰囲気をあえて出さなかったのかなとも思った。
もしもセリフや語りも含めて原作の内容をかなり忠実に再現したら、
ハルヒそっくりになっちゃいそうだなと原作を読んでて思ったから。
体裁がハルヒそっくりなのはアニメでも気付いてはいたんだけど。
あ、ストーリーとかは全く似てないので念のため。

例えば大河は凄い美少女だけど中身は恐ろしく規格外であるとか。
入学当時に外見(だけ)に惹かれて告白してくる人が多かったけど、
それらを片ッ端から切って捨ててた逸話なんかもそっくり同じだし。
竜児が当人の意思とは無関係に大河のフォロー役に回るのもそっくり。
とんでもないヤツと思ってたのに次第に惹かれてくのもそっくり。
原作だと竜児の語りっぽいのがいっぱい入ってるのでさらに似てる。
そして原作の大河のセリフ回しがなんかとってもハルヒっぽい……
アニメと違って結構べらべらと捲くし立てるのも似てる所ですな。
3巻(アニメは7~8話)の大河の自分の感情を持て余した不機嫌な姿に、
思わず「逢坂大河の憂鬱」とタイトルつけたくなったぐらいだよ(笑)。

アニメではセリフを整理したさいに口調も多少変えてあったりします。
意図したのかは定かではないけどハルヒっぽさがキレイに消えてます。
ハルヒっぽいリアクションをしてるところが変えてあったりもするし。
(ハルヒっぽくないセリフは原作そのままだったりもする)
アニメだけだと大河がハルヒに似てる?どこが?って感じになってるね。
既存の(しかも超人気な)作品に印象が似るのはあまり得策ではないし。
意図してハルヒっぽさを消したのだとしたらそれは正しいと思われます。
キャラが似てなくても構図的にやっぱりハルヒに似てるんだから。

アニメではセリフだけではなくてキャラも微妙に変えてあったりします。
口調なんか特にそうだけど原作よりもずいぶん柔らかくなってるのです。
かなりボロクソ言いまくってる最初の方ですら原作よりマシなのだよ(笑)。
底意地の悪さが見え隠れしてた部分をキレイサッパリ削ったのも含めて、
わがままな暴れん坊ではあるけど性根は悪くないみたいにしてあります。
原作のままでも大河が竜児を好きになる理由は十分に伝わってくるので、
アニメでは竜児が大河を好きになる理由づけをより補強したんだろうね。

互いの距離感は言葉で説明せずに見せて感じさせないといけないので、
セリフのやり取りはハッキリと変化を感じられるようにしてあります。
19話(7巻)の最後の自分の気持ちを自覚する前後で特に大きく変わってて、
最近(終盤)の回なんか暴言がほとんど無くなって穏やかな感じすらするよ。
確かに原作も変化はしていってるけどここまで大きくは変わらないのです。
セリフの裏にある内面の変化を言葉であれこれと説明はしてくれるけどね。
映像作品でその手法はよほど上手くやらないと陳腐になってしまうから、
もっと視覚的に皮膚感覚に訴えるように内容をいじってあるのでした。
23話(9巻)の大河が自分からバイトすると言い出す前後のシーンなんか、
アニメでは原作に比べてビックリするほど素直で可愛くなってるよ。

アニメでは互いの距離感や感情を丁寧かつ絶妙に表現しています。
そのへん原作だとどう記述してあるのだろうととても興味が有りました。
で、実際に読んでみて知ったよ。全部、懇切丁寧に書いてあることを。
そうなんです。アニメだとそれっぽく匂わせる態度や表情やセリフは、
原作では心情から行為の理由から何から何まで全部書いてあるのです。
いくら言葉で魅せる小説と言えど書きすぎなのでは?と思うぐらいに。

例えば5話(3巻)で亜美が竜児に自分は悪くないと主張するシーンの後。
アニメだと口元に笑みを浮かべて高須クンてチョロイな表情のところ。
原作は「チョロすぎじゃん」とかそのまま書いてあって唖然としたよ。
この手のってもう少し回りくどく形容だけ書くもんだと思ってたから。
※教室に戻りしな亜美は口元に悪戯っぽい笑みを浮かべた、とか
こんな感じで原作だと直接的に書いてあることが少なくありません。
アニメは言葉で説明せずに些細な表情や行動で感情を表現してるから
観察力や洞察力(経験値)が無いと状況を完全には理解しきれないけど、
原作なら読めばほとんど全てが理解できるようになってるのでした。
つまりアニメでわからない部分があったら原作を読めばいいのです。

もちろんアニメだけでもちゃんと理解できるように作ってはあります。
些細な表情の意味も先に進めば必ずハッキリとした形になってくから。
その瞬間に理解しきれなくともさほど大きな問題にはならないのです。
ふりかえった時にあのシーンはそういう意味だったとわかるハズだから。
アニメは原作ほど簡単ではないけど決して不親切でもないと思うのです。

全体の尺の都合でアニメは原作より内容を圧縮した感じになってますが、
ただ単純に詰めてあるだけではなく細部の構成を結構変えてあります。
そしてアニメにしかないシーンやセリフが追加されてたりもします。
えっ?このシーンやセリフって原作に無いんだ、と驚いたりもしました。
例えば1話(1巻)の最後の大河が自分の部屋でご飯を食べるシーンとか。
ここは大河と竜児の関係が始まった象徴的なシーンと言えるのだけど、
原作だと掃除を始めようとするところまででこのシーンが無かったり。
起きたら恐らくこんな場面が展開するだろうとは書いてはあるけど。
それを膨らませて実際の映像として見せたのは上手いなと思ったよ。

存在してるはずのシーンを実際の映像にしてあるのは他にもあります。
12話(5巻)で大河が竜児にみのりんに謝りなさいよと言ってるシーン。
正しいとか間違ってるとかは問題じゃなくて、とにかく謝ってのところ。
このセリフはその言い回しも印象的だし、意味合いもとても重いのです。
しかしこのシーンもセリフも原作には影も形も無かったのでした……
当然のように存在してると思ってたので読んでて凄くビックリしたよ。
ここなんかほんの少し内容を追加しただけなのに劇的に良くなってます。

原作からアニメでシーケンス(流れ)を入れ替えてある部分も有ります。
例えば2話(1巻)の付き合ってると誤解された後のファミレスのシーン。
ここアニメだと、竜児の家に入り浸ったのは「居心地良かったから」→
わかってくれない「みんなむかつくんじゃー!」と電柱を蹴り倒し→
「明日、北村クンに告白する」それで終わりにする、という流れです。
しかし原作だと告白する→居心地良かった→むかつくの順だったりして。
じっくり見比べた限りはここはアニメの方が流れに無駄が無いっすね。
「居心地良かったから」をストレートに言ったのもとてもいいと思う。
原作だと回りくどくそれっぽい意味の言葉を羅列してただけだから。

セリフの位置が変わって意味合いや重みが変わってる部分も有ります。
例えば10話(4巻)の「高須クンってたまに優しいんだから」のセリフ。
そこに至るやり取りから亜美の本心が透けて見える意味深なセリフ。
なんと驚いたことに原作にはここにこのセリフは存在しないのでした。
「たまに優しいくせに」ってセリフはここ外れる~なシーンに有って、
※部屋に呼びに行ったら姿見でポーズ取っていたあのシーン
移動したというより削ったセリフの言い回しを再利用した感じですが。
セリフの持つ意味合いをくっきり際立たせるようにしてあるのでした。

もうひとつ。20話(8巻)の「わお、衝撃の告白じゃん」ってセリフ。
アニメは「そりゃよく見てるからな」な一種の告白に対する反応です。
竜児のさりげないアピールに対するみのりんの微妙な受け答えなのです。
しかし原作では昨日の挙動不審の説明(腹痛)に対する返事だったりして。
原作からアニメで対応するセリフを変えて意味を全く変えてるのです。
原作では大して意味のないセリフに重要な意味を与えてるわけです。
ここも原作のセリフ(だけ)を再利用して内容を掘り下げた感じっすね。

原作とアニメの対応表に漏れてる3話と4話のこと。
アニメの1~2話が原作の1巻にほぼ沿って構成された内容だったから、
2巻でいきなり亜美が登場して5話の内容に飛んだのにはビックリしたよ。
3話と4話は原作の内容を少し使ってるけどほぼオリジナルなのでした。
(スピンオフも読んで存在しないのは確認しました)
つまり「北村クンの見てくれない世界なんて~」って印象的なセリフも、
「俺だけが本当の彼女を分かってやれる、ってやつ」な鋭いセリフも、
全部アニメで追加されたセリフだったのです。なんともビックリです。
実は「俺だけが~」でこの作品は只者じゃないと認識したんですが……

オリジナル入れるより原作分に余裕を持たせろよと思う人もいるかも。
確かに2話の余裕があれば終盤の構成が今よりも楽だったと思われます。
でも3~4話にあえてあの内容を入れたことは評価できると思ったかな。
原作通り3話から5話に飛ぶと竜児と大河の片恋同盟的な状況が短いから。
奇妙な形で安定した二人の関係の構図を視聴者に実感させないうちに
亜美が登場して竜児と大河の関係を引っ掻き回してしまうわけだし。
亜美をさっさと登場させるとハーレムっぽい構図にも見えてしまうから。
だからこれはあくまで竜児と大河の物語だと印象づけをしたのでしょう。
好きな相手の魅力と相手への想いの深さを描いたのもとても良かったね。
考えてみたら原作にはそのへんあんまり描かれてなかったりして。

こんな感じで原作のストーリーや魅力をしっかりアニメでは再現しつつ、
より内容を掘り下げるように細部の構成を変えたり追加してあるのです。
媒体の特性の違いを生かしてより直感的に伝わるようにしてあるのです。
アニメが面白いのは面白い原作の筋を忠実になぞったからだけではなく、
魅力がより伝わるようにアニメスタッフが頑張ってるからなのです。
今までにとても面白い(好き)と思ったアニメは例外なくそうだったよ。

コメント

原作ちゃんと読んでます?
『原作には無かった』と言われてるセリフの一部はちゃんと原作中に存在しますよ。
2009/03/23(月) 16:12:24 | URL | 通りすがり [編集]

他人に偉そうに指摘するならどのセリフが何ページに有るとか書いてくれ。
内容の確認をして書いてはいるけどミスが無いとは言い切れないので。
絶対にミスしないとか自分の言ってることは常に正しいとか
そんなことを恥ずかしげも無く言うつもりは無いし。
指摘をするなら具体的に。
具体例の無い指摘はゴミなので次からは削除対象です。

あと「※コメント・トラックバックについてのおことわり」ぐらい読め。
2009/03/23(月) 19:29:26 | URL | NAVI [編集]

ちょっと・・・

普段はブログにコメントは書かないんだけど、
本当にこの作品が好きなんだなって気持ちが伝わってきたので、
「深いところまで読んでるんですね」というコメントを書こうと思い、ここまできました。

そうしたら。

立腹されているのはとっても良くわかるんですけど、
本文中からは想像できないキツイ表現がかかれていて興ざめしてしまいました。
ちょっとがっかりです。

できればこのコメントを含めて一緒に削除していただけませんか?

せっかく楽しい気持ちでコメントを残そうと思ったのに、とっても残念でしたから。
2009/03/29(日) 23:44:39 | URL | anonymous [編集]

申し訳ありません

キツイ表現で気分を害してしまって本当にごめんなさい。

指摘自体にはそんなに腹は立たなかったんだけど。
(具体的な指摘ならむしろ歓迎なんです)
「原作ちゃんと読んでます?」って一文にカチンと来てしまって。
どんだけ時間かけて読んで書いてると思ってるんだ!と
思わず叫びたくなってしまったその結果だったわけです。
いちいち腹を立てていてはダメだとわかってはいるんですが……

残念な気分になったという意見は十分に受け止めることとして、
キツイ発言も自分の行動なので自戒の意味もこめて残しておきます。
可能な限り貰ったコメントも消したくないので。
2009/03/30(月) 03:20:34 | URL | NAVI [編集]

そういうつもりならば

了解しました。私のコメントも残していただいてかまいません。

>>どんだけ時間かけて読んで書いてると思ってるんだ!

わかる人にはきちんと伝わってますよ。

最終話までのレビューも楽しみにしています。

2009/03/30(月) 22:53:21 | URL | anonymous [編集]

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