10月からテレビ東京系(6局)とAT-Xで深夜に放送してた全13話の新番組。
原作は青年誌(ヤンマガ)のマンガで読んだことがあります。
※レンタルDVDは1/30からリリース(セルDVDのほぼ1ヶ月遅れ)
この物語は、リョウタとチカとその周囲の面々を中心にした
(小学校のクラスの)5年2組の平凡な日常を淡々と描くものです。
過度な期待はしないでください。
あと、部屋は明るくして、TVから3メートルは離れ(以下略)
みなみけの作者のみなみけの前の作品です。
ハイエンド(系)小学生マンガなる妙なコピーがついてたのを覚えてます。
と言うかコミックスは読んだけどそれしか覚えてません!(爆)
確かみなみけ同様のショートのストーリーマンガの体裁だったはず。
そしてたったの1巻しかなかったはずです。
1エピソード8ページだとしても20数エピソードしか1冊には入りません。
原作そのままの内容ではとても1クールも映像化する内容は無いのです。
※アニメは1回4エピソードで全49エピソードもある
だから恐らく半分ぐらいのエピソードはオリジナルではないかなと。
原作は残ってないのでどれがオリジナルかはちょっとわからないけど。
OVAにもあるエピソードは間違いなく原作のですね。
※OVA版の感想は↓に
この作品もみなみけ同様に作り物の記号キャラによる絵空事ではなく
現実的なキャラによる現実を切り取った内容になってます。
舞台が小学校でメインキャラが小学生(のみ)なのが大きな違いですが。
みなみけほどキャラに誇張がなく際立った特徴がないのも違いっすね。
そのせいでストーリーもあまり変なインパクトがついてたりしません。
現実の出来事を誇張して面白おかしく描いた作品と言うよりは、
何気ない日常のひとコマを表情豊かに切り取った作品って感じかも。
そういう意味ではみなみけよりもスケッチブック(アニメ)に近いかも。
みなみけのようにキャラやストーリーに妙な特徴やインパクトがあれば
演出がわりとあっさりしてても面白さはちゃんと伝わってくるのです。
しかし普通の日常を切り取った作品は演出次第で印象が全く違います。
ただの日常だから演出がイマイチだとぱっとしない内容になります。
逆に演出次第でごく普通の日常なのにとても輝いて見えたりします。
そういう意味でこの作品は演出にとても力が入ってるなと思いました。
よく考えたら何でもない話なのに熱が入ってて印象的だったりするので。
1~3話までならみなみけ(無印)やおかわりより断然レベルが上っすね。
※演出レベルの話です
みなみけの方が面白く感じるのはキャラの印象が強いからです。
そうキャラなんですよ。みなみけとこの作品の最も大きな違いは。
みなみけは南家3姉妹がメインでそのまわりに準レギュラーがいた。
それに対してこちらはメインキャラが8人(男子3人女子5人)もいます。
そのうえわざとらしい性格づけや外形的特徴をしてないのもあって、
最初のうちはキャラの見分けがつきにくいです。名前と一致しないです。
1話2話のうちは別エピソードの同じキャラが一致すらしてなかったよ(汗)。
見続ければさすがにキャラが識別できるようになりますが。
そしてキャラが識別できるようになると断然面白くなってきます。
(キャラが識別できるようになってから最初の回を見返してみた)
1話、2話だけ見てもこの作品の面白さはわからないよと言っておきます。
1話でやったエピソードの関係でとっつきが悪いってのも有りますね。
この作品はキャラの誇張を抑えたなにげない日常を切り取った作品です。
なにげない日常を演出力で面白そうに見せているわけです。
そしてなにげない日常を演出力で鮮やかに彩ると言えばひだまりスケッチ。
テクスチャーっぽい背景を多用してるのはひだまりっぽいなとか思ったよ。
それどころか2話では新房アニメのような表現がいくつも出てきたりして。
新房アニメの技法を真似たのか?と思ったらコンテ・演出が上坪さんだよ。
ひだまり2期のEDをやって以来名前を見ないなと思ったらこんなところに。
※ひだまり1期のチーフディレクター及び1期2期のEDとef1期のEDの人
この2話は演出のエッジが効いてるしスピード感もあってとても面白かった。
キャラが識別できるようになった後に見返したけどこの回は断然面白いね。
演出力による印象の違いと言うものをまざまざと思い知らされた感じです。
上坪さんの回に限ればみなみけ(無印)よりも面白いよ。
ちなみに3話のスタジオパストラルも新房アニメではお馴染みッすね。
当然のことながらこの作画・演出スタッフも新房アニメでお馴染みです。
さすがに上坪さんの回のように新房アニメっぽくはなってませんが。
でも監督の演出方針のテクスチャー背景が目立つポップな表現スタイルは
他のスタッフよりも完璧にやってます。監督のやった1話よりも完璧に。
※別の次元に行ってる上坪さんの回は別にして
まぁ新房アニメでさんざんやってたからこの程度は楽勝なのでしょう。
この3話もエピソードの出来も含めてなかなかに面白かったです。
演出はともかくイマイチ面白さの判断のつかなかった1話に続く2話と3話は
予想以上に面白くて「みなみけ」より多少落ちるけど結構イイと思ったよ。
しかし4話以降は面白さが安定しません……
演出レベルが1~3話までに比べて1ランク落ちてしまったこともあって
エピソードの出来不出来による面白さの差がストレートに出ています。
面白いエピソードもあるんだけど、回の中でばらつきが大きいのです。
絵がそこそこ安定してるからこそ演出レベルの差を思い知ってしまいます。
7話なんかエピソードがイマイチな上に演出まで陳腐で超微妙だったよ。
次の8話がまた上坪さんで面白さが突き抜けてたので落差が凄かった。
※見てないけど9話はスタジオパストラル回
全部が上坪さんの2話や8話のレベルで統一されてれば秀作だったのにね。
表現についてもう少し。
この作品の表現スタイルの基本はリアルな空間とキャラ描写です。
キャラにあまり誇張がなくて演技も誇張がないのでとても生っぽいです。
キャラ絵も柔らかい感じにしてあるので年齢相応の子供っぽく見えます。
そしてみなみけでもやってた劇画タッチの絵が随所で挿入されます。
通常モードの絵が柔らかくなってるので落差がハッキリしています。
このへんはみなみけ(無印)のスタイルを踏襲したんじゃないかなと。
※同じスタチャで同じ大月プロデューサーだし
さらに今回は顔が違うときに声の感じまで大人っぽく変えてたりして。
背景が黒くなったり目が光ったりとみょーな表現も使ったりします。
だから上坪さんがさりげに異彩な絵を挿入しても違和感が無いのです。
あの手の表現は作品のスタイルによっては全く使いようが無いからね。
上にも書いたテクスチャーっぽい背景でポップな印象もつけてます。
ストーリーが現実に近いので表現技法でメリハリをつけてる感じです。
ベースはみなみけよりリアルっぽい画面だけどポップ表現も多いのです。
オマケで2話のどのへんが新房アニメっぽいか書いておきます。
リョータが鼻をほじるところでイラストっぽい画面になるところ。
次の画面でキャラ絵を切り抜いて載せたみたいなのもそれっぽい。
リョータがユウキの耳たぶをつかむ絵がポップアート風の色彩に。
(このポップアート風の色彩は新房アニメ以外ではまず使わない)
赤いパイロンが一つ二つ三つと増えていくのもそれっぽいっすね。
ポップ表現はよくあるけど他だとこんな感じにはしないので。
(この話はOVA版にもあるので見比べるとわかりやすいかも)
プリンがぷるるんとかたこ焼きの絵を挿入する代替表現もそれっぽい。
ユウキの円陣!のところの記号的な表現も他ではまず見ないっすね。
女子の着替え中にリョータが入ってきてキャラが色抜けになるとか、
それぞれのキャラのアップ画面の背景に洗濯記号が入ってたりとか。
(この背景にシンボルを埋めるのも新房アニメ以外ではまず使わない)
ブルマーだけの画面にレタリングのタグが入ってるのもそれっぽい。
プリンのスローモーションでアベマリアにはオイオイとか思ったよ。
しかもここだけプリンが手描きじゃないし(実写っぽい質感)。
最後の方のリョータが責められてる画面が網点トーンっぽい絵だし。
「よこしなさいよ」の画面がサイレント映画風表現だし。
最初のうちは気のせいかもと思ったけど途中から確信に変わりました。
こんだけあれば新房アニメを見慣れてる人ならみんなアレ?と思うから。