1990年頃に放送された全47話のテレビシーリズ。DVDレンタル。
※レンタルDVDは各6話収録なので2巻でほぼ1クール
パトレイバーのテレビシリーズです。
アーリーデイズの後に作られた作品だけどそのまま続きではありません。
改めてイングラムがやってくる一番最初のエピソードからやってます。
どちらも設定はほぼ同じだし、多くのエピソードは読みきりなので、
最初が二つあるという以外は混ぜて見ても特に問題は無いと思いますが。
つまりアーリーデイズとテレビシリーズのどちらが先でも問題ないです。
わりと本筋っぽいシャフトの暗躍エピソードだけは前後関係があるので、
NEW OVAだけはテレビシリーズの後に見てください。
※劇場版はどれとも前後関係はありません
あと勘違いしてる人がいるので書いておきますが
パトレイバーのアニメはマンガをアニメ化した作品じゃ有りません。
そしてコミックはアニメをコミカライズしたものでもありません。
最初のOVA(アーリーデイズの6話まで)と劇場版の監督の押井守さんと
全作のシリーズ構成と脚本の多くをやってる伊藤和典さんと
コミックバージョンを展開したゆうきまさみさんに
キャラデザインの高田明美さんとメカデザインの出渕裕さんを加えた
ヘッドギアという原作集団によるコンセプトワークを元にして
アニメとコミックを平行して展開したメディアミックス作品なのです。
アニメとコミックは基本設定が同じなのに微妙に違ったりするのは
同じ原作を元にしてるけどあくまで別々の作品だからなわけです。
アニメとコミックの特徴な違いといえば
アニメでは香貫花がいるポジションにコミックだと熊耳がいるとこすね。
あとシャフト暗躍のレイバーがファントムとグリフォンとで違う。
あれアニメにも熊耳とグリフォンが出てくるじゃん?って思うかも。
実は後半の2クールにはコミックをアニメ化したエピソードも有るのです。
確かグリフォンとその搭乗者(バド)絡みのは全部そうだったはず。
このへんで全てコミックが原作という誤解が生まれたんだろうね。
香貫花は最初に半年って言ってるので途中から熊耳が出るのは既定路線で
コミックのグリフォンとアニメのファントムのエピソードを繋ぐのも
たぶんテレビシリーズが始まった時点で決まっていたんではないかなと。
見た目の話。たぶんLDを買ったすぐ後に見た以来に見たんじゃないかなと。
久しく見てなかったので脳内でずいぶん美化されてたような気がする。
なんか記憶より見た目がヘボいね(爆)。当時としてはいい方だったけど。
(スレイヤーズなんかはこれより後の時代なのに劣化してるけど)
そしてアーリーデイズから続けて見てたのでOVAとテレビ版の差が凄い。
当時はあまり意識してみてなかったけど改めて見ると密度が違いすぎる。
OVAが今みたいに動画枚数が多くて動きまくってるって意味ではなく、
画面の描きこみや脚本の密度やディティールへのこだわりが凄い。
続けてテレビ版を見るとアレレ?って気分が少なからずするよ(笑)。
描きこみはともかく同じ人の脚本の密度まで違うのが不思議ですな。
一年のテレビシリーズをOVAと同レベルで作りこむのは無理ってことかな。
今みたいに1~2クールの短期決戦ならもっと作りこめたのかもね。
と言っても1~2クールでは幅広くエピソードを詰め込むのは難しいけど。
キャラの話。久しぶりに見て思ったけどみんなキャラ濃い~ね。
原作グループによって徹底的に作りこんであっただけあって、
役付きのキャラは誰もがキッチリと印象を残すようになってる。
いまどきの繊細なキャラ描写と比較すると凄くわざとらしいけど。
このへんはあえて誇張した記号キャラとして描いてるのでしょう。
かなり現実的な舞台の中で意味のあるポジションを与えてるので
わざとらしいキャラ描写なのにリアリティを感じるのが面白いです。
ちなみにシバシゲオって声を当ててる千葉繁さんがモデルだったりして。
うる星でのメガネの性格俳優っぷりを押井さんがいたく気に入ったようで
以降の作品では何度か一緒に組んでやってたのです(「赤い眼鏡」とか)。
そしてついにこの作品ではご本人が登場したわけです(笑)。
(性格がシバシゲオと同じかは知らん)
後は1話ずつ簡単に。
第1話「イングラム起動」
第2小隊に新型のイングラムが配属されることが本決まりになったその日、
なんと篠原重工の工場からイングラムがトレーラーごと盗難されてしまう。
偶然にもその盗難現場に居合わせた野明は一人で追いかけるのだった。
OVAとは全く違う内容の最初の話。すんなり納品されないのは同じですが。
OVA版だと1話の段階で第2小隊の隊長以外は新たに配属されてきたけど、
TV版では1話以前に野明以外は旧型機で活動中で野明だけが新配属でした。
第2話「香貫花が来た」
イングラムへの転換に絡む研修の仕上げに模擬戦をすることになるのだが、
そこにニューヨーク市警の香貫花が入隊するとして突如参加するのだった。
香貫花が登場するエピソードもOVAとTVでは全く別の内容だったりして。
基本設定は全く同じなので組み合わせを逆にしても成り立つのが興味深い。
ちなみに奥多摩の訓練場と教官の佐久間さんはOVAの4話にも出てきます。
第3話「こちら特車二課」
特車2課の事件のない平穏な日常の話。主に食のライフラインの話(笑)。
立地が埋立地の果てなので出前は上海亭のみで後はコンビニ1軒だけとか
ディティール細かくてかつチープな食生活の描写が実に押井さんっぽいね。
上海亭とかコンビニの描写とかビューティフルドリーマーを思い出すよ。
そして実にアホみたいな内容なのに終盤でえらく緊迫したりします。
第4話「魔の山へ行けっ!」
山中での巨大な生物!?の目撃情報をうけて第2小隊が捕獲に出動する話。
実際に巨大な生物がいたのだがその周囲に不審なレイバーも出現して……
信じがたい通報だったので警視庁のお荷物部隊にお鉢がまわってきたりとか、
本当に生物なら観光のため生け捕りを希望とか大人の都合にまみれてます。
イングラムの放送での初仕事が巨大生物の捕獲なあたりは画期的かも(笑)
第5話「暴走レイバーX10」
第2小隊に緊急出動の指令が下る。情報の何もない待機しろだけの指令が。
実は自衛隊の試作レイバーが無人で制御を離れ暴走していたのであった。
できれば自衛隊内部で秘密裏に処理したかったから情報は出さないけど、
でも失敗した場合に備えてバックアップで呼び出しとかってヤナ感じです。
情報統制と危機管理を両立させると現実でも割を食う人が出るだろうね。
第6話「ザ・タワ-SOS」
高さ1000mの巨大タワーの建設現場で火災が発生し人が取り残されてしまう。
さらに救助者のいる区画への内側の通路は消防レイバーが擱座して通れない。
なので上側からワイヤーで吊るして外側の資材搬入口から侵入することに。
本庁の広報が火災現場のそばに報道を入れるとか嫌な大人の都合が見れます。
そして太田さんの荒い手法で報道の上へ鉄骨をばら撒いて大失態に……
第7話「栄光の97式改」
旧型の97式改を擁する第1小隊に新型レイバーが試験的に配属される話。
あまりに美味しすぎる導入の条件には実は裏があったみたいな展開です。
新型機は表向きトヨハタオート製だけどその実はシャフトの開発製造で
試験導入は軍用レイバーへのデータ収集が目的という危ない話だったり。
利益のためにはルールを逸脱するシャフトの蠢動エピソードの序章です。
オチが太田さんなのはちょっと笑ったが。最終兵器太田……
第8話「まぼろしの緑」
首都環状線の工事現場で事件が起きてそれが御神木の祟りではという話。
明らかに誰かが仕組んでる展開だけど表向きはホラーっぽくしてある(笑)。
爆音を響かせるデコレイバーとか派手な舶来のレイバーとか凄く変だよ。
最後には3台のレイバーが一堂に会して第2小隊の恐ろしさを語り合うし。
ホラーかと思ったらいつのまにか喜劇なのはOVAの3話に似てるかも。
第9話「上陸 赤いレイバー」
酒田に入港する船に詰まれた密輸の軍用レイバーを過激派が強奪する
という公安による情報と依頼を受けて野明と遊馬が酒田まで旅をする話。
日本はスパイ天国だとか押井さんが好きな話とか思ったら脚本が当人です。
黒い眼鏡をかけた小太りの人は押井さんの作品にはよく出てきたりして。
※「とどのつまり」とか「赤い眼鏡」とか
第10~11話「イヴの罠」「イヴの戦慄」
イブの夜、東京テレポートと通信が途絶し一切の連絡が不能になる。
車や電車による進入は可能だが行ったきり誰も戻ってはこなかった。
この異常な事態に際して特車2課は総力をあげて出動するのだが……
シャフト蠢動エピソードその1でファントムと黒崎さんが初登場すね。
この後何度か出てくる航空自衛隊の不破さんもこれが初登場です。
第12話「太田惑いの午後」
太田さんが凄い美女と見合いをして上手く行きかけたのだが実は……な話。
落ち込んだり舞い上がったりするので周囲が気を使ってて大変だったよ。
かと思えば太田さんらしくない渋いことを言って呆然とさせたりした。
この見合い相手の声の島本須美さんは当時の清楚なヒロインの代名詞な人。
横手美智子さんってこの作品が最初だったはずなのでこれが初脚本か!?
第13話「殿下!お手柔らかに」
砂漠の国の王子様がパトレイバーの視察の名目で特車2課に入隊する話。
パトレイバーに目を輝かせてるあたりは実に男の子って感じですな。
(まるで野明にそっくりだとかみんなに言われてたけど)
メカに目を輝かせる少年で日高のり子さんの声だとジャンみたいです。
初めて目にしたカップ麺の便利さにいたく感動してたのも笑えたよ。
豪華ディナーがカップ麺に化けたのには同情してしまうけど(笑)。
第14話「あんたの勝ち!」
警視庁恒例の柔道大会で第2小隊の太田さんと遊馬が負傷してしまう。
機能不全のため臨時で野明と香貫花がコンビを組むが上手くかみ合わない。
そのため後藤隊長が2人が腹を割って話ができるように飲みに誘うという話。
隊長が立てこもり犯を説得する時の話が変だなと思ったらこれも押井さん。
そいや立てこもり犯の顔が押井さんみたいだなとか見てて思ったよ(笑)。
※お遊びでスタッフに似た人が出ることが良くある
第15話「歌を唄ったクジラ」
東京湾に鯨が迷い込んでそれを湾の外に逃がそうと警察や消防が奔走する話。
見物客が群がったり報道が追いかけたり街の人たちが好き放題に言ってたり
ザトウクジラのザトちゃんと呼んだりと現実に露骨に似せてて苦笑するね。
登場する目本テレビとかは今だと本物のアナウンサーがやったりしそうだ。
※これを製作・放送してたのは日本テレビ
第16話「小隊 海を渡る」
レイバー隊のイメージアップのため第2小隊が札幌雪祭りの設営に協力する。
と言うのは表向きで環境ゲリラの犯行予告に備えるためだったという話。
野明の高校の部活の先輩が出てきて恐ろしい事って身近に有るのねとか……
特車2課第2小隊の通った後は~な悪名は日本中に轟いているのかいな(笑)。
野明の後ろに温かいコーヒーを置いて無言で去る遊馬が少しカッコいいぞ。
第17話「目標は後藤隊長」
後藤隊長に剃刀メールが届いて以降トラブルが続発するが裏にはある男が。
特車2課の面々は様子がおかしい隊長について色々調べようとするんだけど、
昼行灯と見せかけて実はそつがないのですっかり煙に巻かれてたりして。
カワイイ封筒を手に持ってすぐに磁石を使うあたり全く隙のない人っすね。
最後に手作りの騎士レイバーが登場するところは実に滑稽で笑えます。
第18話「スキスキ野明先輩」
アイドルの松本加奈がパレード行進の練習目的で特車隊に短期入隊をする話。
妹にしたいタレントとしてクリーミィマミの変身前みたいな少女が登場(笑)。
※キャラデザインが同じ人とは言えわざと似せてるっぽい見た目
ちやほやされ慣れてたから野明に初めて厳しくされて慕っちゃうのでした。
当時は女キャラだらけの作品が無いからこんな百合っぽいのって珍しいね。
第19話「ジオフロントの影」
東京大深度の巨大な地下都市の建設中に爆発が起こり作業員が取り残された。
その作業員が実は爆弾を設置した犯人だということで第2小隊が出動するが、
犯人の確保のために地下に潜った野明たちの前に謎の巨大生物が現われる。
最先端技術の粋を集めたSFな世界で怪物と戦うノリがエイリアンっすね。
レーダーに怪物のシルエットが映る画面からしてわざとやってるのでしょう。
第20~21話「黒い胎動」「亡霊ふたたび」
レイバーを擁す民間の警備会社が登場し訓練のため自衛隊の演習に参加した。
その演習の最中、正体不明のレイバーが出現し自衛隊機が破壊されてしまう。
事態に際し第2小隊に出動の指令が下るのだが野明と遊馬の関係は拗れていた。
警備会社HSSはハリボテで実態はシャフトという蠢動エピソードその2です。
イブの時の香貫花といい最悪の相手と対峙する時に限って態勢が崩れてたり。
第22話「花とレイバー」
ヤクザの親分さん同士がレイバーのコレクションで張り合ってしまう話。
刀や車とかのノリでレイバーをコレクションする発想が独創的で面白いね。
数だ、いや質だ、いや活用した方が勝ちだとエスカレートしていきます。
しまいには野明を姐さんと呼んでヤクザが警察の手伝いをしたりする……
警察がヤクザに感謝状を贈るなんてあまりにもシュールな喜劇ですな。
第23話「香貫花レポート」
日本での研修を終え帰国する香貫花の送別会を内緒で行おうと
香貫花のマンションに忍び込んだ時にレポートを発見したという話。
それぞれのキャラにあわせて過去の内容を編集してあるほぼ総集編。
第24話「さらば香貫花」
香貫花がアメリカに帰国するために乗った飛行機がハイジャックされる話。
離陸前にハイジャックされたので見送りに来ていた第2小隊のメンバーと
暗号を散りばめた通信で連携して見事にハイジャック犯を撃退するのです。
見るからに香貫花の安全より犯人の安全が心配になるのがアレですな(笑)。
今だと身近に携帯電話があるから連絡手段も話の展開も全く違っちゃうね。