2007年に公開された劇場用アニメ。DVDレンタル。
刀があり武士がいて下克上のあった戦乱の世。日本のどこか(架空の場所)。
何らかの理由で追われる犬を連れた一人の少年がいた。名は仔太郎。
(てっきりどっかの領主の子供かと思ってたよ)
一方、過去の出来事から刀を封印し名を捨てた男がいた。通称名無し。
二人はある廃屋で出会い、行きがかりで男が少年を助けたことから、
男と少年と犬は少年の目的地までしばし一緒に旅をすることになる。
男の力をみこんで礼をすることを条件に少年が頼み込んだのである。
金銭の関係だったから少年は男をイマイチ信用できなかったのだが。
そんな二人も一緒に旅を続けるうちに互いに親しみを覚えていった。
見終ってまず思ったのがストーリーがまともな映画、だったかな。
そんな印象もどうかと思うけど最近のアニメ映画は酷いの多いから……
そうでなくても客引きのために演技の微妙な人を使う作品が多いのに、
ストーリーまでダメだったら何を楽しめばいいの?って感じだし。
(演技の微妙な人が出てくるのはこの作品も例外ではないが)
そーいう意味で映画としての及第点には達してるなという感じです。
ストーリーがまともと言っても素晴らしいという意味ではないよ。
どっちかと言うと物語的にはシンプルでむしろ地味なぐらいです。
いかにも時代劇な世界だから土色で見栄えの良くはない舞台だし。
序盤はかなり淡々とした展開で見てて退屈といえなくもないわけで。
そんな淡々とした展開に鋭い剣戟が挿入されメリハリがついてるのです。
そして最後の舞台では役者が勢ぞろいして派手な大立ち回りをします。
全ての役者や要素がクライマックスの一点に向けて集約していくのも
終盤に派手に盛り上がって行くのも実に映画的な構成だなと思ったよ。
アクションを見せるためにあえて内容を詰め込まなかったのも良かった。
理解し易くてカタルシスを感じるので最後はそれなりに感動できたから。
この作品の売りは上にも書いてあるけど(剣戟)アクションです。
アニメーション動画技術を最大限に駆使して凄い絵を見せてくれます。
枚数制限のきついテレビアニメでは決してできない動きが満載です。
クライマックスの舞台なんて20分もひたすら動かしまくってます。
今の日本のアニメは本気を出せばここまでできるんだぜって感じだよ。
考えてみたら実写で人間を切りまくるのはかなり無理が有るので
まさにアニメだからここまで動きを表現できたと言えなくもない。
新世代の時代劇映画の誕生みたいな表現も言い過ぎではないかなと。
雰囲気や物語作法も(旧来の)邦画のやり方を踏襲してるしね。
※テレビドラマ的な映画ではないって意味
あと印象的だったのはものすごく大掛かりな仕掛けが登場するところ。
もろこし(中国の明)から来た異人が何らかの意図で作るのです。
最初その見た目から強大な威力持つ兵器みたいなものかなと思ったよ。
よーするに時代劇には相応しくないファンタジーな道具なのかなと。
しかし実際は巨大な仕掛けはただ一人の子供から血を抜くためだった。
さらにその仕掛けは皇帝の不老不死のためのモノだったという……
※この世界で不老不死が現実に可能なわけではない
錬金術的というかバカバカしいことを大掛かりにやってたわけなのです。
ああ、なんかとっても時代劇っぽい!と妙な感心をしてしまったよ。
そこもストーリーがまともだと感じた一端ではあるかな。