10月から一部の民放(5局)で深夜に放送してる新番組。
AT-Xでも放送してるので地上波で見れない人はそちらで。
原作は18禁のインタラクティブノベルでやったことはありません。
※セル・レンタルDVDのリリースは12/7から
麻生蓮治(れんじ)は早すぎる進路調査票を見ながら自らの未来に悩んでいた。
まだ高校1年生の彼は本が好きで自ら物語を綴るのが好きだったのだが、
だからってそれを仕事にしようと考えるのは安易ではないのかとも思った。
答えの出ない彼はじっくり考えるためいつものお気に入りの場所を訪れる。
そこは廃線になった鉄道の駅舎で人の滅多にこない静かな場所なのだ。
彼がいつもは無人の駅舎についた時、珍しくホームのベンチに先客がいた。
先客の名は新藤千尋(ちひろ)。自分より少し年下に見える女の子だった。
翌日、淡い期待を抱いて再びそこを訪れた蓮治の前に彼女の姿はあった。
それから千尋に会うために毎日のようにその場所へと訪れる蓮治。
蓮治の中で千尋の存在は日々大きくなり、互いの距離も近づいてる気がした。
彼女が会うたびに様相を変えるのも、ときおり奇妙な言葉を口にするのも、
女の子は多少不可思議な生き物なのだ、とあまり深く考えはしなかった。
しかし千尋には蓮治の想像を絶する秘密が存在していた。
だから蓮治が何気なく口にしたある言葉が彼女にはとても重要だったのだ。
そんなことなど知らない蓮治は、ただ目の前の幸せに浮かれていた。
こ、これは、えらくヘビーな設定を使ってるね……
この障害をフィクションとして使ってる作品なんて初めて見たよ。
(最近コミックスでもそれっぽい作品が出たみたいだけど)
10数年前にNHKスペシャル(驚異の小宇宙・人体)で見たときも衝撃だったけど、
こーしてフィクションとして見せられてもやっぱりインパクトが強烈っすね。
にしてもエロゲーアニメはまるで専売特許のように重い内容が目立ちます。
マンガとかでも重い内容の作品は結構あるけどね。アニメ化されないだけで。
このヘビーな設定が千尋自身の口で語られるのが2話の最後のシーン。
それに続いて本来のオープニング曲と映像が流れる構成が君望とそっくりです。
そこまでは甘い逢瀬で、そこから厳しい現実に向き合うあたりもそっくりかも。
と言っても他愛のない甘い逢瀬だと思ってたのは蓮治だけだったのだけど。
少なくとも視聴者は告白を聞く以前からただならぬ雰囲気に気づいてたはず。
勘のいい人ならかなり初期段階で千尋の障害について気づくんじゃないかと。
実際、2度目に蓮治と千尋が逢った時にほぼ正確に読み取ってしまったから。
「以前、私と会ったかたですか?」ってセリフと手帳を常に持ってるあたりで。
これ以降もヒントは次々と提示されるので大半の人は告白前に気づくはずだよ。
(核心についてはあえて書かないので自分の目で確かめれ)
作品を見始めた当初は相変わらずの主張の激しい映像に目を奪われてたけど
設定が見えてきたあたりで映像がぶっ飛んでても気にならなくなりました。
過激な映像表現をもかるく凌駕するぐらいにインパクトのある内容だから。
その映像表現についてはスタッフを見れば一目瞭然ですが、ほぼ新房アニメ。
今回、新房さんは監督ではなく監修で、監督は右腕的存在の大沼心さんです。
※「ぱにぽにだっしゅ!」のシリーズディレクター(≒副監督)
新房さんとは多少表現の方向性が違うけど似てるところも多分にあります。
流すところと語るところで映像の密度が違うあたりは新房さん直伝かもね。
言葉を伝える時に映像が主張しすぎると煩くて頭に入らないのを知ってるし。
(「ほしのこえ」はそのへんが良くわかってない)
「ほしのこえ」と言えばこれの原作のムービーは新海誠さんだそうで。
なんか背景の色使いが新海さんっぽいなと思ったら意図して似せてたわけか。
映像センスが超一流の新房組のアレンジが入った新海誠風の映像って感じ!?
ちなみにこのアニメのオープニング映像はいつもの新房アニメと同じです。
今回は最近の新房アニメでお馴染みの尾石さんではなく大沼心さんだけど。
大沼心さんのオープニングというとツクヨミモード以来だったっけかな。
※ネコミミモード(月詠)の満月特別バージョン
見比べてみると何となく手法か似てるような気がしないでもない!?
設定や内容と映像センスが強烈なインパクトを持っているこの作品。
この作品はもう一つとても印象的な特徴があります。
それは物語を紡いでいくコトバ、キャラの想いを伝えるセリフの数々。
この手ので生々しくて胸に突き刺さるコトバを使う作品は過去にも有ったけど
文語的というか言い回しがとても印象に残るセリフを喋る作品は初めてかも。
どっちかと言うと小説やライトノベル原作のアニメに近いとも言えるかも。
(小説原作のアニメでもコトバの軽いアニメは腐るほどあるけどな)
まぁ、そもそもノベルゲームって媒体的には小説に近いものなのだけど。
ちなみに4話までで一番印象に残ったセリフは4話の終盤に千尋が叫ぶ
「どーして私じゃない人のほうが私のことを知ってるんですか!」って言葉。
ストーリー構成もちょっと珍しい体裁になってます。
まず上に書いた重い障害をもった千尋と蓮治のラブストーリーが有ります。
このストーリーがメインでこの二人が主役と言って差し支えないでしょう。
で、他のサブキャラに関するエピソードがそこに挿入されるのが通常の構成。
しかしこの内容だと他のキャラの明るい話を絡ませるのはほぼ不可能に近い。
そこでアニメスタッフが考え出した(?)手法は物語を同時進行させること。
千尋と蓮治の話とは別のキャラによるストーリーが同時に展開していきます。
一つは広野紘と新藤景、宮村みやことのいわゆる三角関係なラブストーリー。
そしてもう一つは自分が目指してる映像を作るために足掻いてる堤京介の日々。
キャストインタビューには2つ同時と書いてあるけど正確には3つ同時だね。
※3つ目は比率が少ないので2+αぐらいか
今後、京介は景に接近していくみたいなのでこの2本の糸は絡まるのでしょう。
さらにストーリーが進むと千尋たちの物語とも絡み合って来るのだろうか!?
千尋と景は双子で全ての人物が近い位置にいるから絡んでも不思議はないし。
(おそらく紘が漫画家になった理由の中に千尋のことが入ってると思われる)
全く絡んでこない内容をあえて平行して描く必要はないわけだから。
本来ならサブキャラであるはずの人たちにも主役的なポジションを与えて
別々の物語を見せていくのでそれぞれのキャラにも存在感が凄く有ります。
主役扱いキャラが6人もいるので物語世界に奥行きがとても感じられます。
(主役キャラ4人が今のとこ空気なガンダムOOとは対極的なつくりだね)
それにサブキャラはたいがい報われないけどこの構成ならみんな報われるし。
そーなのです、なんとこれこの手のでは初めてメインキャラが男女同数だよ。
今は一人の男に女二人がついてるけど最終的には3組のカップルという形に?
男キャラがいっぱい出て来てしかも魅力的なあたりも新鮮ではあるね。
とりあえず今期の作品で初めて続きを積極的に見てみたいと思った。かな。