BSフジでも放送してるので地上波で見れない人はそちらで。
原作はサブカル?誌(エロティクスF)のマンガで大ファンです。
※セル・レンタルDVDのリリースは7/29から
その不思議なリストランテはローマの片隅にひっそりと存在していた。
そこは料理もサービスも一流で雰囲気も抜群の素晴らしいお店だった。
しかしそのお店がいつも満席だったのはそれとは全く別の理由だった。
実はそのお店はカメリエーレを始め従業員全てが妙齢の眼鏡紳士だった。
お客の中には料理目当ての者もいたが大半は従業員が目当てだったのだ。
(メイド喫茶のメイドを老紳士にして料理やサービスを一流にした感じ)
そんな眼鏡紳士リストランテをニコレッタという若い女性が訪れる。
実はニコレッタは店のオーナーの奥さんであるオルガの娘だったのだ。
15年前に子供がいると今の旦那と再婚できないからと置いていかれたのだ。
会いにくると言いながら数度しか会いに来なかった母が許せなかったのだ。
今の旦那に実はこんな大きな娘がいるのだとばらそうとやってきたのだ。
でもオルガの必死の懇願にニコレッタはしばらく様子を見ることにした。
リストランテの紳士の一人クラウディオのことも気になるしってことで。
私はオノ・ナツメさんの大ファンでコミックスは全部持っています。
別名義(basso)のもペンギン書房時代のもそれを再発したのも含めて。
そしてその中で一番好きな作品と言ったらまさしくコレなのでした。
まさかこの作品がアニメ化される日が来るとは夢にも思わなかったよ。
こんな独特のタッチの絵がアニメで動く日がやってくるとは……
山ほど新作が作られる今の時代ならではだと時代に感謝しちゃうね。
リストランテ・パラディーゾという作品はコミックス全1巻の作品です。
そのままの内容ではとてもじゃないけど1クールには足りないのです。
だから同じ舞台・キャラによる「GENTE」の内容も使ってるのでしょう。
このGENTEは(たぶん)リスパラが好評だったから改めて描かれた作品で、
リスパラの続編ではなく読みきりでキャラをクローズアップした内容です。
ニコレッタが主役のリスパラとはキャラが同じだけの全く別の作品です。
時間の流れみたいのはあってカゼッタ・デッロルツの準備から始まります。
つまりニコレッタ登場から始まるリスパラよりも前の内容が多いのでした。
※GENTEの2巻(全3巻)の最後のエピソードでニコレッタは初登場する
前述のようにリスパラとGENTEは舞台・キャラが同じだけの別作品です。
その両方を原作にするっていったいどのように構成するのかなと思ったり。
淡々とエピソードを重ねて最後にじわ~~と来るリスパラをやった後に
読みきりのGENTEの内容をやるのはさすがに間抜けてるだろうし……
もしかして本編であるリスパラの合間にGENTEを挿入してくるのかな?と。
(よーするにハルヒ1期の構成)
実際に見てみたらまさしくその通りの構成になっておりました。
これだと最後の回がアレだからとても感動的に終わります。こうご期待。
ただGENTEの内容は2/3がニコレッタが登場する前のエピソードです。
回想でやったカゼッタ・デッロルソの開店エピソード(4話)はともかく、
他のエピソードは時間軸の前後が狂ってくる可能性が多々あるわけです。
実際、ヴィートとある夫婦の話(6話)は原作だとニコレッタがまだ登場前で
それどころかヴィートは遊びまくりでまだ結婚してなかったのでした。
「それを寂しいと思うなら今のような生活はやめたほうがいい」も
アニメでは過去形だったけど原作だと進行形の生々しいセリフなのでした。
こんな感じで構成に合わせてエピソード内容に手を加えてるみたいです。
アニメで見てて違和感はないので上手くやってるのではないかと思います。
ちなみにヴィートとマリーナの馴れ初めのエピソードも原作にはあるので
興味があったら原作(GENTEの1巻)を読んでみるといいです。
シリーズ構成や残り話数からいってアニメではやると思えないので。
見た目の話。
アニメで見てても独特な絵のタッチというのはわかると思います。
でもコレでも原作に比べればずっと普通の絵っぽくなってたりします。
日本のマンガというより海外のマンガみたいに絵画的なタッチなので。
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DVD1巻(左)と2巻(右)のジャケ絵 |
最初は内容は好きってほどではなかったから。初期から味はあったけど。
まさにこのリスパラで内容も好きと言えるようになったのでした。
この原作の独特なタッチの絵はアニメでもそれなりに再現されてます。
線がキレイに整いすぎな気もするけどこれが現実的な落しどころかなと。
さすがに原作のタッチを完璧に模倣したらとても動かせないだろうから。
ニコレッタとクラウディオはイメージ通りだしいい線行ってるのかなと。
ジジは微妙なバランスの違いか原作よりみょーに可愛く見えるけど(笑)。
キャラ絵のタッチとは別にアニメでとても印象的だったのが背景です。
3Dの背景の中をカメラが進んでいくとゲームみたい、って話ではなく。
最近主流のリアル系な背景ではなく、淡い色のポップ系の背景でもなく、
茶色を基調にした枯れた配色のざらざらした油絵みたいな背景なのです。
枯れた配色に椅子とかの鮮やかな赤い色が浮き上がってる背景なのです。
渋いけど地味ではなくみょーに目を引くまさしく絵になる背景なのです。
ARIAみたいなアコギ基調の落ち着いた音楽と相まって雰囲気が抜群です。
(考えてみたら舞台設定もイタリア風のARIAと近いわけでした)
監督の加瀬充子さんはキャラの些細な仕草を丁寧につけてくる人なので、
カゼッタ・デッロルツの面々の優雅な振る舞いも見事に描画されてるし。
原作の持つ空気感みたいのを素晴らしく完璧に再現してると思いました。
オノ・ナツメさんの作品はこの空気感こそ最大の特徴とも言えるわけで、
絵や内容の再現よりも空気感を再現してくれたのがポイント高いです。
あとは1話ずつ簡単に。
1話「ニコレッタ」リス・パラ1話より
ニコレッタがこの老眼鏡紳士だらけのリストランテへとやってきた話。
そしてその中の一人クラウディオに一目惚れをしてしまったという話。
この回は原作の内容そのままにディティールを足した感じになってて、
作品の独特の雰囲気みたいのを存分に味わえるようになってるのでした。
誰が一番人気?な部分は原作2話の内容だったりと構成の違いも有るけど。
1話から少しでもキャラが見分けられるようにとの配慮をしたのかなと。
ニコレッタがオルガが借りたアパートに入るシーンは追加されたもので。
新たな生活を始めるのを実感できるようにしてあったのが印象的でした。
(原作にはそれっぽいシーンが全く存在しない)
2話「指輪」リス・パラ2話より
ニコレッタはクラウディオが気になってリストランテへ通ってしまう。
と同時にローマで暮らすために何か仕事をしなくてはと考えるのです。
そしてその二つの問題をクリアする素晴らしい方法を思いつくという話。
この回は流れとしては原作に沿ってるけど原作とずいぶん印象が違うかも。
ニコレッタが自分の仕事について考えるシーンが大幅に増やされてるので。
休日にルチアーノの家で料理をするシーンもアニメで追加されたものだし。
(休日のルチアーノが孫とベンチで過ごすという設定は元から原作に有る)
恋だけでなく仕事も真剣に考えてるのを実感できるアレンジがされてます。
クラウディオを押し倒してるシーンがやけに輝いてたのには苦笑したけど。
3話「パラディーゾ」リス・パラ3話より
ニコレッタはクラウディオの別れた妻との関係が気になってしまって。
そしてクラウディオはルチアーノに釘を刺されて少し距離をとってしまう。
二人の状況はそんな感じなのに周りの人たちは幸せでムカつくみたいな話。
そして実はオルガはニコレッタを大事にしてたのがわかる話でもあります。
この回も原作の内容に沿ってて細部の要素がいくつか足してあります。
クラウディオがニコレッタに対して距離をとってるのを実際に見せてたり、
ニコレッタがヴィートに年の差夫婦の話を聞いてるのが目立った違いかな。
クラウディオの名前でえらく荘厳な絵が出てきたのには口あんぐり(笑)。
4話「カゼッタ・デッロルソ」GENTE1巻1話より
リストランテ開店時のメンバーであるマルツィオがお客としてやってくる。
そしてニコレッタはマルツィオにリストランテ開店の経緯を聞かされる。
それはオルガに対するロレンツォの深い愛から始まったという感動的な話。
この回はGENTEの最初の話をリスパラに挿入するために回想にしてあります。
つまり原作には回想以外のパートが存在しません。ニコレッタもいないし。
(マルツィオがお客としてやってくる話は別にあったりする)
これをここに入れてニコレッタに聞かせたのはなかなかに上手かったすね。
ただの趣味を具現化したお店じゃないのを視聴者も実感できただろうし。
5話「オルシーニの味」リス・パラ4話より
無口でちょっと変わったジジが実はロレンツォと異父兄弟だったという話。
リス・パラの1話だけどニコレッタメインではなくジジのエピソードです。
だからどちらかというと読みきり体裁のGENTEのエピソードに近い回すね。
この回の構成も原作の内容そのまま細部を足してある感じになってます。
例えばセリフにあるジジがワインを選ぶシーンを実際に絵で見せてたり。
設定に有る父親の墓参りのシーンを最初と最後に追加してみたりとか。
(ジジが墓参りをするエピソードは別にあったりする)
愛想が無いようででも人のことを常に考えてるのを実感されてくれます。
6話「ある夫婦」GENTE1巻3話より
毎度のように浮気をする旦那に妻が愛想をつかして危機が訪れるという話。
上に書いてあるけど原作だとこれはニコレッタが来る前のエピソードです。
さらにヴィートとマリーナが出会う前なので内容がいろいろ変わってます。
原作だとゲストの夫婦がメインでリストランテの面々は脇に回ってるので。
アニメでは夫婦とヴィートとマリーナの関係を対比して描いたみたいだね。
だからヴィートが馴れ初めを話してるシーンは原作にはないのでした。
そしてマリーナの姉夫婦がリストランテに来るシーンもないのです。
原作の内容をリミックスして未来の話を追加してたのが印象的だったすね。
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