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コードギアス 反逆のルルーシュ R2 23~25話

見事だ!こんなに見事なケリをつけてくるとは!
というのが最後まで見てまず思ったこと。

確かに予想してたのと違うショッキングな結末をになったけど
よく考えていればこの結末は十分に読めていたはずで……
つまり物語が始まった瞬間からこうなる可能性が高かったのです。

世界を大きく変革するにはそれに相応しい強大な力が必要なわけで。
そしてそれを動かす強大なカリスマも持った人物がいるわけです。
この作品ではそのカリスマがゼロでありルルーシュであった。
ルルーシュによる世界の変革は予定表どおりほぼ達成したわけです。
しかし問題は世界を変革したその後の体制だったのでした。
むしろ壊した後に新体制を作ることの方がはるかに大変なのです。
既存の強大な権力が崩壊すると平穏よりも混乱が来る可能性が高いから。
(フランス革命の後なんかがとてもいい例だと思う)

実は新たな体制を作るときに混乱をさせない方法が一つあるのです。
それは革命を指導した人物が新たな権力を掌握すること。
よーするにゼロ(ルルーシュ)が新たな君主になるしかないわけです。
作中でもルルーシュはブリタニアの新皇帝になったりしたけど。
あえて憎まれるようなことをせずにもっと穏当な手法を使ってれば
世界から支持される素晴らしい指導者として君臨できたはずです。
問題はルルーシュはそんな世界を望んでいなかったというところ。
今日という形で権力を固定することは生きていないのと同じだと。

強大な権力によって世界を一つにまとめるのではなく、
小さな力の集合体(合衆国連合)によって世界を分割して統治しながら
しかしそれらは一個人への憎しみという価値観によって結びついてる。
(外敵の存在によって内部が一つにまとまるのと似てます)
それによって未来永劫に争いが全くなくなるわけではないけど、
少なくともここ数十年はそれ以外より争いの少ない世界になるだろう。
ルルーシュが最初に望んだのはそんなささやかな幸せだったのです。

ルルーシュが世界を変えるための道程を頭に描いたとき、
最後のシーンをどこまでイメージしてたのかなと思ったよ。
皇帝を倒すのとブリタニアを壊すところまでは考えてたはず。
だけどその後のことまではイメージできてなかったような気がする。
もしかすると考えてるだけで一生行動に移さなかったかもしれないし。
あまりにも大きすぎる目標はその先の道を覆い隠してしまうから。
皇帝を倒したことで初めてその先の道筋が見えたんだろうね。

最後まで見てふと気づいたこと。
この作品っていかにもな悪役って出てこないのだった。
他人の権力に頼った小悪党みたいのはいたけど。
世界の趨勢に関わるような大きな力を持った悪役は存在しなかった。
ルルーシュから見たら絶対的な悪役のはずだった皇帝シャルルですら
全ての行為が争いのない世界を求めてのことだったのにビックリです。
(シュナイゼルは圧倒的な力によって平和をもたらそうとしたし)
戦いは正義と悪の間ではなく異なる正義の間で行われていた
勧善懲悪なんてものは絵空事な物語の中にしか存在しないのだから
より現実に近い題材を描くのならむしろこれこそ必然だったのだけど。
正義の味方という言葉を象徴的かつ嘲笑的に使ってたのは凄かったね。

シャルルもシュナイゼルもルルーシュもユーフィやナナリーも
求めていたのは同じような争いのない世界だったはずなのに……
もちろんその世界をどう実現するかはそれぞれ違っていたけれど。
シャルルは昨日を、シュナイゼルは今日を、永遠に固定しようとした。
だけどルルーシュは幸せな明日を求める人々の力を信じたわけです。
安定して変化のない世界より間違えても進んでいく未来を求めたのです。
それはルルーシュに反旗を翻したナナリーの願いでも有って。
(この時点でナナリーはルルーシュの仮面の下の真意は知らない)
同様に志半ばで倒れたユーフィの願いでもあったのでした。
ユーフィとナナリーは二人ともシュナイゼルのお膳立てで権力を握るけど
ただのお人形ではない強い意志を持っていたのが印象的だったなと。

その終盤に物語の大きな鍵になってくるナナリー。
ルルーシュがこの物語が動かした唯一の目的がナナリーの幸せだった。
望んだのは目が見えない歩くこともできないナナリーの幸せだった。
だけどただ守られているだけに見えたナナリーにも意思が有ったのです。
そんなことは当たり前のはずなのに、うっかり失念していたこと。
ナナリーのために仮面を被り嘘をつき続け多くの犠牲を出したのに
その行為をナナリーに否定されてしまったらどーなるだろう?
実際、そーしてルルーシュは何度か行動の意味を見失ってたわけで。
ルルーシュの目的の前に最後に立ち塞がったのがナナリーと言うのも
最初に望んだ世界を考えたらあまりに残酷としか言いようがない。

ルルーシュには多くの人を欺いてまでなすべき目的が有ったとはいえ
ナナリーの意思を曲げるギアスを使うのはさすがに躊躇してた。
だってそもそもナナリーの幸せのために始めたことなんだから。
ナナリーとの会話でルルーシュはナナリーの真意に気づくのです。
そしてそれならもう思い残すことはないとばかりにギアスを……
これ表面的にはナナリーの意思を曲げてるように見えるけど、
ルルーシュとナナリーが行おうとしてたことって実は同じだから。
自分でそこまでの考えと覚悟を持てるなら大丈夫だと思ったのでしょう。
ナナリーまで自分と同じ罪を背負う必要はないと思ったのでしょう。
と言ってもナナリー自身は虐殺の十字架を背負って生きるだろうけど。

にしてもルルーシュが最も願ったことは叶わなかったんだよね……
いや、ルルーシュ的にはあれは理想的な結末だったんだけど、
(ルルーシュ=ゼロを知ってる人には真意が伝わったはずだから)
ナナリーからしたらあんな結末になるぐらいなら前の方がマシだよと。
みんなの大きな歓声の中で一人だけ泣き叫んでる姿は胸に痛かった。
ナナリーがささやかだけど幸せに暮らせる世界を望んだはずなのに、
みんなが幸せになってナナリーだけが幸せではない世界になった。
どこでボタンを掛け違えてしまったのだろう。
もっといい結末は無かったのだろうかと考えずにはいられない。

あとは蛇足みたいなこと。
最初にこの作品と銀英伝はいろいろ共通点が有ると書いたけど
今回の3話分でも笑っちゃうぐらい似てる場面がいくつかありました。
まずルルーシュがブリタニアの皇帝になった後にやったことが
ラインハルトが新銀河帝国の皇帝になってやったこととそっくり。
過去の皇帝の痕跡を壊すとか貴族制度を廃止するとかね。
「血統種と過去の栄光にすがる愚かしさと浅ましさ」
ってセリフなんかそのまんまラインハルトが言ってるみたいだし。
※ラインハルトも似たよう言葉を言ってたはず

ダモクレスとの最終決戦での陣形を変えつつにらみ合う場面も
銀英伝ではお馴染みのライハルトとヤンの艦隊戦の様相なわけで。
ルルーシュとラインハルトを重ねて描いてることに気づいた人は
物語の最後が似たようなカタチになることも気づいてしまったかも。
もちろん作品そのものも体制的にも全く違う結末なんだけどさ。
両方を最後まで見た人には言ってる意味がわかるはず。
離れ離れになってた最愛の親類とわかり合うのまでそっくりだ。
※ルルーシュとナナリー、ライハルトとアンネローゼ
そんなところまでそっくりにしないでもとか思ったよ……
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