まめに録画する根性はない。DVDを買い続ける金もない。 だからレンタルビデオで行こう!

PERSONA -trinity soul-

PERSONA -trinity soul- 1~26話

2008年1月から一部の民放・アニマックス・BS11で放送した全26話の新番組。
原案は女神転生(通称メガテン)の派生シリーズのペルソナの3作目(PS2)。
ペルソナの1作目は持ってます。途中までプレイして止まってますが(汗)。
※レンタルDVDはセルDVDと同時リリース(9巻までリリース済)
現実に極めて似てるけどほんの少しだけ未来っぽい世界。
10年前の大災害からの復興で未来的に生まれ変わった北陸沿岸の都市。
この綾凪市ではこのところ人知を超えた不可解な事件が続発していた
※綾凪市の場所は富山市のあたり(らしい)
海中で調査中の密閉された潜水艦の中から乗務員が消えてしまったとか。
皮膚の表裏が裏返った死体になるリバース事件と称する連続殺人事件とか。
そしてこれらの事件は情報統制により決してメディアで伝えられなかった。
現場の警察官の中にはそんな対応の胡散臭さをいぶかしむものも居た。
疑念は綾凪市の若き警察署長の神郷諒(かんざとりょう)へと向けられた。

二人の兄弟はそんな状況を知らず綾凪市へとやって来る。
兄の名は神郷慎(しん)、弟の名は神郷洵(じゅん)。二人は諒の弟だった。
預けられていた叔母に恋人が出来たので邪魔しないよう実家へ戻ったのだ。
(理由はそれだけではなかったのだけど)
二人がこの街へと帰ってきたのも、兄の諒に逢うのも実に10年ぶりだった。
10年ぶりの我が家は懐かしい記憶と優しい兄の記憶を呼び覚ました。
しかし兄の諒は慎と洵の想像と違って再会を喜んではくれなかった
家を手配するからすぐにもこの街から出て行け!と冷たく言い放ったのだ。

実は放送時に4話まで見てコメントが落ちていたやつです(汗)。
そのうち再見してコメントをと思いつつ新番組の洪水に押し流されました。
と言うわけで放送終了どころかDVDのリリースも終わる頃になってます。
4話までだと見えそうで見えない先が気になる感じで終わってたので
ある程度状況を見極められるところまで見るつもりで見始めたのです。
だいたい8話ぐらいまで見れば全体の3分の1だし気極めが出来るかなと。

しかしこの作品は何とももどかしい感じの構成になってたのでした。
謎めいた部分をいっぱい提示するだけして一向に見えてこないのです。
日常のディティールを丁寧に描いてるので生活感は凄くあるんだけどね。
中盤を過ぎるぐらいまで物語が動いてる感じがあんまりしなくて。
すっきりしないので1話また1話と見ていくうちに17話になってました(爆)。
そこまで見ればさすがに作品の方向性も設定もある程度は見えますが。
そしてそこまで見たからどうせだし最後まで見てしまえと思ったのです。
緻密で現実的な空間描写でキャラの行動が生っぽいので雰囲気がいいし、
シャープなキャラ絵が結構好みなのもあって勢いで見てしまったのです。
キャラの見た目だけではなく中身もとても魅力的だったしね。
まさか一日で2クール26話分全部を見るとは自分でも思わなかったけど。
ほぼ13時間ぶっ通しで見たので、見終わった後に頭痛がしたよ……
最後まで見れる状態で続き物を見始めるのは危険だと思い知りました(汗)。
だってほら放送中なら見たくても見れないじゃん。

最後まで見て特に思ったのが設定が緻密に組み上げてあるってこと。
一見は本筋に関係ないと思われたことが実は全て繋がってるのです。
叶鳴(かなる)が影抜きに執着する理由や影抜きという遊びさえも。
息抜きエピソードと思った社長の子息の誘拐事件すら繋がってるし。
(~こりんが続々と出てきたのには思わず吹いてしまったけど)
全ての始まりになった10年前の事件すら当然のように繋がっていた。
中盤以降に伏せられていたカードがどんどん開いていく展開になって
とても緻密に組み上げられた設定なのだと実感できるようになります。
最後まで見れば中盤までの展開も本筋を描いてるのがわかります。
でもそこを見てる時は物語が動いてる感じがしないのも事実なわけで。
いきなり謎を大量に提示しながらその答えはずっと提示されないし。
見ててとってももどかしいという印象になってしまうのでした。
まとめて見てもそう思うんだから毎週見てた人は相当に焦れただろうね。
中盤までももう少し物語が動いてると実感できる構成なら良かったのに。
これから見る人はそのへんを念頭に置いて見ることをオススメします。
中盤までも動いてないように見えてちゃんと意味はあるので。

もう一つ思ったのがバトルの比率が思ったより小さかったってこと。
前に見た最初の4話中には結構戦ってるシーンがいっぱいあるので、
てっきりペルソナを持った人たちによる戦いが中心の内容なのかなと。
神郷慎とその友人たちと稀人(マレビト)が戦うのがメインなのかなと。
しかしこの作品の中での戦いの要素って全然メインじゃなかったりして。
最初の方に戦うシーンが目立つのはインパクトを重視したからだろうね。
いきなり大量に謎を見せたのも視聴者の興味を引こうとしたからでしょう。
しかし5話以降は戦いの要素が薄れ謎もちっとも明かされていかないので
物語が同じところを廻ってるような印象を受けてしまうのでした。
(上にあるように動いてないように見えてもちゃんと意味はある)

ではこの作品は何をメインに描いてるのかというと、
簡単に言うなら人間模様、人と人の関わり、人の心のうちです。
ペルソナという存在も自分の中にあるもう一つの自分の顕現だから。
※ペルソナとは仮面をかぶった人格という意味
人の無意識が奥底では繋がってるというのも心理面でのアプローチだし。
それを海の底のくじらというファンタジーな表現にしてるのも興味深い。
その昔ペルソナの1作目を途中までとはいえやったことが有るので、
この作品が描いてるものは確かにペルソナ的なものだと感心しました。
※ストーリーはアニメオリジナルらしい
つまり神郷兄弟の話や学校での友人たちとの話こそがメインなのです。
物語が動いてないように見える中盤までの展開こそがメインなのです。
そしてこの日常の光景があるから叶鳴の話がより衝撃的に見えるのです。

恐らくこれを最後まで見た人の10人に9人は同じことを思うでしょう。
この作品で最も衝撃的な内容は叶鳴の正体とその結末だと。
それを知ったときになんて残酷な話(叶鳴にとって)だと思ったよ。
そもそも残酷だったのは叶鳴に限ったことではないんだけどね……
妄執にとりつかれた人間はどこまで残酷になれるんだろうって感じで。
ただの悪い奴に見えた稀人たちだって言ってみれば被害者なわけで。
(人間を道具として使うために孤児院を買い取るとか凄いことしてる)
でも彼らは加害者でもあって自分のなしたことの自覚はあったわけで。
泰市の慎に頼んでペルソナを切り離して貰おうなんて提案に対して、
沙季は私たちは(この罪を)背負っていかなきゃいけないと言ってたり。

この作品は人と人の関係をメインに描いてるのだけど、人と人の関係の
最も鮮やかな瞬間とも言える恋愛の要素はほとんど無かったりします。
全く無いわけではないんだけど穏やかだったり密やかだったりするので。
それでも一番ハッキリとした感情が出ていたのが叶鳴だったのでした。
いつのまにか生まれた淡い感情も次第にハッキリした形になっていき、
終盤に至っては想い人の慎以外にはバレバレになるほどだったのです。
20話で結祈(ゆき)にもお兄ちゃんとお似合いだとか言われてたし。
恋愛要素の少ないこの作品で数少ない恋人同士になるかと期待したのに。
それがあのやるせない結末なわけで……
こんなヒドイ話ってないよ。という印象に尽きます。
考えてみたらもう一組の恋人同士の諒と映子さんも途中でアレしちゃうし。
この物語を考えた人は恋人同士になんか恨みでもあるのか?と思ったり。

ラストシーンは明るくて前向きな感じに描かれてはいるけど
考えてみたら慎にとってこの物語って結構ひどい結末だよね。
諒兄ちゃんがいなくなって、憧れの映子さんもいなくなって、
仲の良い友達で自分に想いを寄せてくれた叶鳴までいなくなるという。
自分が慎ならこの物語を作った人に謝罪と賠償を!とか言いたくなる(爆)。
再会後の冷たかった諒兄ちゃんの態度の真意には深い愛があったなんて
居なくなった後に知ったって嬉しくもなんも無いんだよと……
もちろん視聴者はかなり序盤から諒が二人のことを思ってるからこそ
離れ離れになっても街から早く出ろと言ってるのはわかっていましたが。
(危険だからだと思ってたけどそれだけでは無かったのでした)
これで洵まで居なくなってたらこんな世界無くなっちゃえとか思いそうだ。
連れて行くつもりだった洵を戻したのは慎の気持ちを考えたからだろうね。
スポンサーサイト