よみがえる空 -RESCUE WINGS-
前にレンタルDVDを借りて見たけど今回のはセルDVDです。
気持ち的には
ずっと欲しかったし安かったしってことで買ってみたよ。
(まだDVD-outletに残ってるよ)
予算の都合で3巻以降が手に入る予定は今のところ全くありません(泣)。
ちなみに本編の映像はセルもレンタルも全く同じです(BVは全てそう)。
違いはセル版には映像特典が入ってるというところ。
※この作品のレンタル版には映像特典が全く入ってません
それも何だかやたらと力の入った映像特典がいっぱいついてます。
本編は2話収録で50分ほどなのに
映像特典が30分近くもあるよ(笑)。
さらに1巻の初回版には別の映像特典ディスクまでついてるし(値段同じ)。
見るからに大ヒットしなそうな作品に何をそんなに力を入れてるんだか。
映像特典の内容について。
まず1巻ごとに1人ずつ主要キャストの人の作品についてのインタビューが。
(公式サイトによると3巻の本郷三佐役の石塚さんまでみたい)
2巻の能登さん(めぐみ役)の特に印象的なのは4話全てって話が凄く同感だった。
あとめぐみは現実には
あまりいないぐらい良い娘ってのも確かにそうかもと。
見たことある人は説明するまでもないことだけどこの作品は男ばっかりで。
でもいわゆる女性向けの幻想キャラではなく男性視点の現実的なキャラで。
その代わりに(あまり出てこない)女性キャラが多少美化されてるのかもね。
美少女モノのような記号的美化ではなく現実の延長の魅力的な人間として。
ある意味真の主役たちとも言える現実の救難隊員のインタビューも各巻に。
実際の救難の仕事の話や印象に残ってる現場の話とか凄く興味深かったよ。
大きな災害だとテレビで見て知ってるから話の内容に現実感が凄くあるし。
ちなみに救難隊員の人たちが作品を見た感想も話したりする。
この文脈だと出てこないのかなと思ったらいきなり作品に触れてビックリ。
全てがハッピーエンドじゃないところがとてもリアルだとか言ってたよ。
この人たちは1巻の特典ディスクのドキュメント航空救難団にも出てきます。
おそらく3巻以降でインタビューしてる人たちも出てると思われます。
大量にインタビューした内容を各巻とこれに分けて収録したのではないかな。
このドキュメント航空救難団では救難隊員たちによる活動内容の説明を
実際に救難団が活動している映像をふんだんに散りばめて見せてくれます。
この作品の映像特典としては
これ以上ないぐらい的確な内容だと思ったよ。
このアニメが好きなら1巻の初回版が手に入るうちに買った方がいいと思う。
各巻にはミュージッククリップなんてのもついてます。
よーするに主題歌や挿入歌・イメージソングに映像をつけてあるもの。
1巻のエンディング曲は本物の救難団の活動を編集したもの(実写)で、
2巻のオープニング曲は
アニメのシーンをいい感じに編集したものです。
さらにそれを歌ってる人のインタビューもついてます(2巻まで?)。
3巻以降も6巻までずっとミュージッククリップはついてるみたい。
エンディングを歌ってる影山ヒロノブさんのインタビューのこと。
この作品は1クールなのに変則的なエンディングが何度もあるのです。
最初のエピソードが終わる3話のエンディングも変則バージョンでした。
ここ最初は曲だけで歌が流れなくて今回は歌がないのかと思ったら
途中から歌が流れてさらにさびを繰り返してくれて凄く感動したそうな。
確かに主題歌がここまで
作品と一体化して使われることは希だからね。
オープニングの三郷あきさんも凄くカッコイイ映像で感動したそうな。
作品の内容も凄く良くてそんな作品の主題歌が歌えて嬉しかったとも。
ブックレットにも作画スタッフが
この作品に携われて良かったという話が。
(女の子がもっと描きたいなんて言ってるのは俺だけだったな話の流れで)
アニメのように多人数で作り上げる作品は大多数のスタッフにとって
作品の面白さに自分の意志が直接的に介在することは滅多にないわけで。
だからこそ出来上がった作品が予想以上に素晴らしいものだった時は、
そこに自分の手が少しでも加わったことがとても嬉しいわけです。
逆にあまりアレなデキだとスタッフリストから名前消したくなるが……
あと各巻の映像特典としてはWEB予告編映像というのが。
公式サイトに掲載されてる予告編を収録したものです(今もまだ見れる)。
中身は次のエピソードを短い時間にダイジェスト編集したもので、
いわゆる予告編映像とはちょっと違う感じ。
ブチっと途切れるし(爆)。
ちなみに放送の次回予告は黒字にサブタイトルだけの簡素なものでした。
放送枠いっぱいいっぱいまで本編に使いたかったからなのでしょうか?
通常のOP/EDを使わない変則構成も本編が長いからそうなるわけだし。
1巻の特典ディスクにはドキュメントとは別に小松救難隊訪問記と言うのも。
めぐみ役の能登麻美子さんがアニメの舞台(モデル)になった小松救難隊の
施設の各所を隊長さん他の人たちの案内で見て回るという内容です。
これはアニメDVDの特典映像なのですぐに見比べられるわけですが、
アニメに出てくるシーンそっくりそのままなのにちょっと感動したよ。
施設だけではなく飛行機や仕事内容も含めて綿密に取材してあるのだなと。
スト4の時も思ったけど現実に存在する場所を細部まで再現することで
作り物の作品世界でも実存するような説得力を与えられるのだと実感した。
特にアニメのように1から画面を作る場合はそこは特に重要なんだなと。
最近の作品で実在する場所を再現する作品が多いのもそこが理由だね。
他の映像特典としては1巻の通常ディスクの番組宣伝スポット(30秒版)が。
特典ディスクにも番宣スポットの短い(15秒)版が入ってました。
録画でしか見ない人間だと
番宣はあまり見る機会がないので貴重ですね。
作品のDVDやCDのCMは番組内のCM枠で流れるから見る機会もあるんだけど。
ちなみにCM等は公式サイトによると7巻(SPECIAL)に収録されてるらしい。
特典ディスクには公式サイト用のプロモーション映像なんてのも。
作品の紹介と言ってもアニメの映像はなくほぼ全て救難団の映像なやつ。
※公式サイトのほうにはもうその映像は無いようです
これを作った時点ではまだアニメの映像があまり無かったのかもだけど、
ある意味とってもこの作品らしいプロモーション映像だとも思いました。
何しろ映像特典では実際の救難団の紹介する映像がやけに多いわけで、
ブックレットも作品の内容より救難団の仕事や設備の解説が多いし(笑)。
今さらに出た(らしい)公式ガイドブックも内容はそんな比率らしいし。
杉山プロデューサーの燃え燃えっぷりが実感できます。
いい意味で。
公式サイトのブログが今でも更新されてるしな。
CMといえば自衛隊のイメージCM?の「よみがえる空」バージョンなんてのも。
実際に流してるのは見たことないけど
こちらにあるので見てみたり。
※「あなたの空に…」のIとIIがそれ
なんだかよくできた
「よみがえる空」のCMにしか見えないんですが(笑)。
だって一部にアニメ映像を使ってるんじゃなくて全編アニメ映像だし。
まぁ、これ以上ないぐらいに絶妙なコラボレーションだとは思ったけど。
自衛隊のイメージCMとしてはちょっとカッコよすぎな気もするがな。
(軍隊というのは本来は人を殺すのがお仕事だから)
中身についても前に書かなかったことを少し書くつもりだったけど
時間がなくて見返せなかったので次の機会があればと言うことで。
(4話までは今までにも3~4回ほど見返してたりするけど)
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「よみがえる空」の未放送話(13話)。DVDレンタル。
※セル・レンタルDVDは放送分も含めて全巻リリース済
13話と言っても某あのね作品のように真の最終回ってわけではなく、
本編とは全く連続性のない完全な番外編になってます。
放送を見てた人なら12話が最終回の体裁だったのは理解してるでしょうが。
見てて思ったけどこの回は最初から放送する気はなかったのかなと。
だってこれ本編より前のエピソードで
主人公まで違うんだから。
(内田三尉は最後にちらっと出てくるだけ)
本編では総括として登場した本村さんがメディックとしての限界を感じ、
(メディックを)やめることにした「最後の仕事」という内容です。
この作品は必ずエピソードの導入部分で日常を淡々と描くことから始めてる。
そして何らかの災害や事故が発生して一気に緊迫する構成になってます。
放送では1~3話のフォローの4話以外のエピソードは全てその構成でした。
しかし13話は
全編が淡々と綴られてるのでその意味でも特別編って感じ。
クライマックスに災害出動があるけどそこもいつもと違って淡々と描いてた。
オープニングがついてないし、エンディングも特別な構成になってるし。
(本編も1クール作品なのに特別構成が何度も有ったけど)
いつもはあまり目立たない本村准尉のエピソードってのもスペシャルだし。
本編中にメディックの大ベテランだったって話がちらっと出てくるけど、
それが実際のストーリーとして見れるとは思わなかったのでびっくりしたよ。
(本郷三佐が事故の時に助けたのは何と本村さんだったのでした)
作品が好きな人のための素敵なサービスって感じで。
このエピソードで一番印象に残ったのは
本村准尉の奥さんが
毎日カレンダーに×をつけてるところ。
これって今日も無事に乗り切ったって意味合いなんだと思われます。
作中ではそうだとハッキリ示さないけど、たぶん間違いなかろう。
メディックを辞めるって聞いて「ほっとしてます」って言ってるし。
でもこれは救難に限らず消防とか警察に勤めてても思っただろうね。
人を助けるのは誇らしい仕事だと思ってるけど、でもやっぱり心配だと。
実は13話に先駆けて本編も全て見返したんです。レンタルDVD版を。
最初はロケットガールがアレなデキだったので口直し的に冒頭の数話を。
しかし見始めたら止まらなくなって二日ががりで全部見てしまいました。
やっぱ作り手が本気でつくってる作品は伝わってくるモノが違うなと。
たとえ見た目が地味だとしても、そこに
込められた想いは大作級ですよ。
大ヒットしなのはおかしいとは言わないけど、もっと多くの人に見て欲しい。
見て面白くないと言うのは構わないから、見ないで切り捨てないで欲しい。
そして、もっと他のエピソードを作ってもらえたら嬉しいなと。
改めて全話を見てて気付いたというか再確認したこと。
内容を知ってて見ると感動的なほど丁寧に伏線を張ってるのがわかります。
初見ではそうだと気付かないけど情報とした頭には当然入ってるわけで、
それがストーリー展開の中で組み上がって絶大な説得力を持ってくる。
よーするに物語構成の基本をとても丁寧にやってるのがわかるわけです。
変わったことよりも奇を衒うよりも、まずは
基本をしっかりやるべきで。
基本をしっかりやれば、そこに少しの+αで素晴らしい作品になるのです。
(「光と水のダフネ」がまさにそのいい例です)
それだけ基本が出来てない作品が多いってことでもあるけど……
放送とDVDの違いは……詳細に比較してないので知らん(爆)。
※詳細に比較すると1クールで15時間ほどかかる
放送版も気にするほど荒れはなかったから修正しても大差はないと思う。
1箇所だけ修正されてるところに気付いたけど。
それは1話の地震のテロップ。「大きい」から「強い」に直ってるよ!
おお!
ちゃんと修正してあるじゃんとか思いつつ見てました。
でも2話のニュースのセリフは「大きい」ままでした。
絵は直したけどアフレコし直すのまでは無理だったってとこかな。
まぁ、こんなとこを気にするのは全国で3人ぐらいだから(笑)。
※レンタルDVDには映像特典は全くついてません
これでラストです。
最後だからと何かが終わったり大きく変化したりはしません。
そもそもこのシリーズは新たな仕事を始める話なわけで。
だから新たに歩み始めた
小さいけど確実な一歩みたいな感じかな。
これに限らず仕事というのは継続して積み重ねることがキモなわけで、
続けようと思えばまだまだ続けられそうだし、見てみたい気もする。
まぁ、あまりニーズが有るとも思えないし、1クールでも御の字ですが。
10~12話の最後のエピソードは雪山で遭難する話。
いつものように最初は何もないゆるやかな日常というプレリュードが。
2~3話にわたるエピソードは全てこの構成という徹底した正攻法っぷりだね。
今回の災害は天候が悪化したことで状況が最悪にこそなったけど、
キッカケとなったのは当事者である人間の判断ミスだったのでした。
つまりこのエピソードで強調しているのは
極限状態での判断というもの。
このエピソードで一番気になったのが滑落した学生の判断。
山岳パーティーの中で一人足を引っ張ってるという自覚があったのでしょう。
だからこそ厳しい状態なのにまだまだ大丈夫というポーズを強調してた。
この手の我慢とか気力とか根性みたいのは一種の美徳とされるけど、
生死を分けるギリギリの状況ではその態度はかなり危険だったりする。
もしも限界を超えて倒れたら
他の人に多大な負担を強いるのだから。
(登山に限らず)余裕がない場合をそれを早めに伝えたほうがいいわけで。
と、(生死に関わらない)仕事を始めた頃にさんざん言われたよ。
判断と関係のあることだけど、いざという時に満足な判断がデキるように
日常から仕事の目で観察をしておけ、みたいなアドバイスが有ったり。
例えば緊急時にそこの学校の校庭に降りるならどうアプローチするか?とか。
事前に観察をしているかいないかでは安全に降りれる確率は全く違うわけで。
多くの正確な情報を持っていた方が最善の判断を下しやすくなることを
具体的な応用例を用いて頭に叩きこませてる感じだね。
ここに限らず本郷三佐の
厳しさはむしろ優しさに見えてくる。
この作品は主人公が仕事を受け入れていく物語であると同時に、
レスキューという仕事の魅力や(それに限らない)
仕事の心構えを描いてる。
だからだけど小学生の頃に学校で見た「働くおじさん」を思い出した(笑)。
ドラマ仕立てではあるけど物語的な仕掛けは必要最低限に押さえてるし、
学校で仕事の魅力や厳しさみたいなのを教える教材に使えそうだなと。
小学校の高学年ぐらいならある程度は理解できる内容だと思うし。
マジで使ってみようと思うチャレンジャーな先生はおらんかね。
物語の最後に「よみがえる空」というタイトルの意味が出てきます。
実は今までずっとこのタイトルの意味がわかってませんでした(汗)。
※-RESCUE WINGS-はまんま航空救難団を意味してると思われる
飛行機のパイロットを助けるから「よみがえる空?」とか思ったけど、
助けるのはパイロットに限らないし、そもそも全く文脈が通ってないし。
最後のシーンで「お前の空はよみがえったか?」と言うセリフを聞いて、
なるほどそーいう意味なのか!と。まんまテーマの言い換えじゃん!と。
見たことないと何言ってるかわからんだろうけど、
見ればわかるから。
※セル・レンタルDVDのリリースは4/26から
この作品って主人公とその彼女と鬼軍曹(本郷三佐)以外の人たちは
イマイチ見分け難いと言うか
名前と顔が一致しないというか……(汗)
もちろんそれぞれにエピソード毎に印象に残る人がいるのは確かだけど
エピソードを越えて同一人物として認識するのがなかなか難しかったり。
それは外見や行動にわざとらしいキャラ付けをしてないせいだけど。
むしろエピソード毎のゲストキャラの方が見分けやすいほどだし。
そのへんのキャラの描きかたを見ててふと思ったのです。
この作品ってもしかしてプロジェクトχのような
どこにでもいる(呼び名はあるけど)
無名の人たちの物語なのかなと。
特別なヒーローではなく、スペシャリストには違いはないけど、
与えられた仕事をきっちりとこなしている普通の人の物語というか。
いつもの仕事でもエピソードによって光が当たる瞬間が有るというか。
キャラの濃さで視聴者を引きつけるのとは対極にある作品って感じすね。
アニメは絵なのでキャラにハッキリとした特徴をつけやすいけど
考えてみたらあえて
キャラの特徴を薄くすることもできるわけで。
実写っぽい映像だけど実写ドラマでここまでキャラを薄くするのは
無名の役者を並べるのが現実的でない以上難しいかもしれないね。
演技力はともかく(おいおい)役者やタレントの人はオーラが強いから
よく知らない人でも見てるうちに識別できるようになっちゃうし。
※そーゆー人が役者やタレントになるんです
もうひとつこの作品の特徴としてはディティール描写の細かさがあります。
例えば5話でめぐみ(彼女)が営業で書店を廻ってる時に棚を観察して
痛んでる&日に焼けてる
本のカバーを取り替えてるシーンを描いてる。
これ書店や出版の営業の人には常識だけど普通の人は知らんでしょ?
(本好きで書店に通ってる人なら知ってるかな)
こーゆー(知られてないけど)当たり前のことを丁寧に描写することで
現実を描いた作品では作品世界の説得力が全然違ってくるわけで。
この作品が面白い理由のひとつはここに限らない丁寧な描写に有るのです。
丁寧な描写で印象に残ったもう一つ。
救難の人たちは自分の機体がなくて愛機という感覚はないが
整備の人たちは担当する機体があってむしろ
その人にとって愛機かもと。
それぞれの機体整備の責任者を機付長(きづきちょう)と呼ぶとか。
この程度までなら他のデキの良いアニメでも描く機会はあるでしょう。
そして強く印象に残ったのはその先を描いた部分なのでした。
航空救難団は元々が航空自衛隊の事故に対応するために組織されたもので
(一般の目に触れる)災害救助は副次的に生まれたものだった。
6~7話では同じ小松基地の戦闘機が行方不明になり捜索を行うことになる。
このエピソードでその機体の整備した人たちの表情がクローズアップされる。
もし
行方不明の原因が機体の整備不良だったら悔やみきれないという感じで。
ある基地では事故の後に首を吊った機付長もいたなんて話もしたりして。
メカニックの人が目立つ作品は今までにいくつも見てきたけど、
こんな描かれ方をした作品は初めてだったのでとても印象的だったよ。
このエピソードに関しては他にも書きたいことが山ほどあったけど
書き始めたらネタバレしまくりになりそうなので自粛して一つだけ。
「生きてる」と確かめるように繰り返すセリフが胸に突き刺さって
すっかり涙がダーダーな状態でした。つーか思い出すだけで涙が……(汗)
8~9話では主人公が偶然乗り合わせたロープウェイで事故が発生。
ロープを噛んでる箇所が外れかかった危険な状態で空中に停止してしまう。
このエピソードでは縦割り行政の縄張り争いみたいな一面も垣間見えたり。
それと自衛隊は実質的には軍隊なのでシビリアンコントロールの原則から
たとえ災害派遣だとしても
自己判断で出動することはできないという現実が。
※阪神淡路の時は行政が機能不全に陥って自衛隊に要請が出せなかった
メンツの張り合いで救難隊を呼ばず、消防が救助を試みるけど無理で。
このまま待ってたら落下の危険があるので主人公は決断するのです。
備え付けの非常脱出設備を使って乗客を地上まで下すことを。
この時の主人公の姿はとっても頼もしくて憧れてしまったよ(笑)。
実際この状況に陥った時に救難隊の人がいたら地獄に仏だろうし。
もしももっと若かったら
この仕事を志したかもしれないとか思った。
アニメを見ててそんなことを思ったのはもしかしたら初めてかも。
この自力での降下作業は残念ながら事態の悪化によって完遂はしないけど
最後の最後に救難隊のヘリが登場してフィナーレを飾ってくれるのでした。
この救助のしかたが
想像してたのより大掛かりな方法でビックリしたり。
さすがに金の掛けかたが半端じゃない自衛隊ならではの手法だなと。
ここに限らないけどこの作品は淡々としててあまり派手さはないけど、
事故に直面したギリギリと締めつけるような苦しさの連続の果てに
ドカーンと突き抜ける開放感があって、そこがカタルシスになってる。
物語的なメリハリは極力押さえた現実の延長のような構成だけど
それでもエピソードの最後には感情が溢れてくる。これは凄いことだなと。
そんな感じで素晴らしいこの作品ですが
あと3話で放送はお終いです(放送自体はさっき終わった)。
1月からテレビ東京系(6局)で月曜日の深夜に放送中の新番組。
AT-Xでもやってるので地上波で見れない人はそちらで。
内田一宏は小さい頃からジェット戦闘機のパイロットになる夢を抱いてた。
しかし夢を叶えるべく入隊した航空自衛隊で彼は救難ヘリのパイロットとして
小松基地の
レスキュー部隊・小松救難隊に配属になったのであった。
夢とは離れてしまったけど、就任先の先輩が鬼軍曹のようだったけど、
現実に向き合い与えられた仕事をしっかりこなして行こうと思ってた。
そんな彼が職場に慣れるまもなく小松救難隊に出番がやって来る。
いちおー見学という面目で現場に行った彼が見たのは厳しい現実で
さらに気をきかせたつもりの行動が思わぬ事態を引き起こしたりして。
一度折り合いをつけたはずの気持ちが激しく揺らいでしまうのだった。
これは前にちらっと書いたけどガンパレ(1作目)のスタッフが作ってます。
白っぽいソフトフォーカス気味の画面で緻密に空間を構築をしてるのが
この監督(桜美かつし)さんのいつもの画面の作りかたって感じっすね。
さらに今回はCGが質感やモーションも含めてめっちゃハイクオリティで
えらく緻密な空間描写とあいまって物語世界にとっても説得力があります。
なんか
ガンパレ2作目のスタッフとは格が違うよと言いたげな見た目の差(笑)。
もちろん格が違うのは見た目(映像)だけではないのでした。
物語の始まりから丁寧に空間と人間を描写してて。
でも何も起きない落ち着いた現実を淡々と描いてて。
なんかえらく渋くてストイックな作品だなと思ってた。
そんな何も起きない展開はちょっとした地震によって破られる。
「ちょっとした地震」というのは
あくまで主人公にとっての話。
(東京に住んでるとこの程度は、また地震?ぐらいな感じだし)
でも職場から召集がかかりテレビに速報(最大震度6)が入るに至って、
ああこれでいきなり厳しい現場に直面するんだと想像できました。
その後の状況と落差を際立たせるためあえて平穏を強調したんだなと。
もちろん想像通りの(むしろ想像以上の)厳しい展開が待ってるんだけど。
このあたり物語構成のセオリーをきちんと押さえてて感心したよ。
ある意味教科書通りなんだけど、そのレベルに達してるの少ないし。
救難隊の最初の仕事が地震の震源に近い現場と言うのは
地震国日本ならではのとても現実的で皮膚感覚に添った内容だなと。
被害の状況から考えてほぼ震源の真上だと思われる島が救援の舞台で
見た感じでは福岡の地震の時の玄界島がモデルになってるような。
※あの規模だと震源にごく近い地域しか震度6にはならない
学校の校庭にヘリが着陸したり、空中のまま被害者を吊り上げたり、
実際に災害の中継で目にする場面を引用してるのも説得力を補強してる。
映像表現がリアル系で仕掛け映像を全く使わないので実写志向っすね。
題材的にも深夜でアニメより実写で夕方やった方が受けそうな感じだし。
(実写でこれだけの映像を作るのは予算的に厳しいだろうけど)
と言うか深夜アニメを見る層はこれ面白いんでしょうか?
あまりうけるとは思えないけど、ワタクシ的には凄い良かったよ!
あえて茨の道を進んだプロデューサーやスタッフに喝采を送りたい。
※これのプロデューサーはスト4と同じ人だったり
ストーリーに話を戻して。
主人公がいきなり厳しい現場に直面して、さらに自分の行為が原因で
緊迫した展開に陥るわけです。これ
自分が原因なのがポイントです。
被害者の状態に自分が関わってるからこそより切実で必死になるわけで
ここで助けようとあらゆる手を尽くす主人公に感情移入してしまうのです。
刻一刻と状況は悪化していくし、次から次へと困難にぶち当たったりして
でも頭をひねったりみんなの助けを借りたりしてなんとか目的地へ。
病院に直接降りろという指示が来たけど、停電で街は真っ暗で、
だけど地面に一筋の光があって、そこが病院だった、の部分は涙が出た。
(ネタバレなのであえていろいろ省略して書いてあります)
渋くて、ストイックで、でもここぞという瞬間はドラマチックに感動的。
なんともストーリーの組み立てが上手いっすね。
停電した街の地面に一筋の光ってダフネの16話でもやってたよ。
ネタパクリと言うかそもそも脚本が同じ人(高山文彦さん)ですけど。
4話の水上清資さんはダフネのシリーズ構成(脚本チーフ)だし。
こんなところで
ダフネの脚本陣の実力を実感してしまったり。
その4話。
いきなり厳しい現場で重い現実を突きつけられて落ちこんでた主人公。
そこに東京で就職した彼女が尋ねてくるんです。
と言っても何の理由もなく訪ねてきたわけではなく3話の最後に伏線が。
ここで彼は彼女に地元を案内するんだけど、小松には何もないからと
わざわざ金沢に出て東京みたいだろと案内したのには、呆気にとられたり。
だって東京から来た人間が東京みたいな街を見たいわけないじゃん!
それに気づかないほどその時の彼の精神状態は余裕がなかったわけで。
せっかくのデート(?)中に喧嘩みたいな状態になってしまうし。
「
抱いたらいつもの一宏に戻ってくれるのかな」ってセリフが痛いよ。
ここでの彼の行動は甘ったれてると言うかいい大人とは言い難かったけど、
彼女のあるセリフと行動がきっかけで気づくのでした。自分の問題に。
(この後彼女に小松をあらためて案内するのだった)
このままの状態だったらどうしようと思ってたから気づいて良かったよ。
と言うかきちんと自覚していくプロセスが描かれてて感動した。
3話までのストーリーといい4話の恋人関係といい脚本が素晴らしいね!
見た目のクオリティよりも脚本のデキこそ特筆すべき作品ですな。
ところで
緻密なこの作品だけど地震オタクとしては1ヶ所だけ指摘したいとこが。
それは1話で地震が起きた時にテレビで流れた速報のテロップ。
作中「×時×分北陸地方で大きな地震がありました」って流れるけど
ここの表現は「
強い地震がありました」だと思われます。
これってたぶんどの放送局も同じ表現を使ってるんじゃないかと。
(各社統一のガイドラインみたいのがあるのかも)
さらに細かい話になると、実は
最大震度によって表現が違ったり。
まだ震度が出てない場合及び最大震度3以下の場合は
「×時×分北陸地方で地震がありました」(形容がつかない)
最大震度4の場合は「やや強い地震がありました」になって
最大震度5になると「強い地震がありました」になるのです。
最大震度6は滅多におきないので今ひとつ確証がもてないけど
確か「とても強い地震」か「かなり強い地震」だったような。
つまり速報の最初の表現を見たただけでどの程度かわかるのでした。
(地震の速報テロップをよく観察してるとわかるよ)
もうひとつ蛇足な話。
この作品はなぜかガンパレの1作目とスタッフに共通点が多いです。
そしてガンパレの続編がほんの1クール前から放送してたりもします。
さらにどちらも製作してるのはバンダイビジュアルです。
って情報から
あるひとつの仮説が思い浮かんだりして。
もしかしてガンパレの続編をやるためにこのスタッフを集めたのではと。
だけど何か理由が有ってガンパレの続編をやらないことになったとか。
例えば続編の設定がアレだったからとか。あくまでも勝手な推測ですが。