世界の構造と日々の生活を知っていく。
そんな展開は5話で終わりを告げ
夏が終わり冬が近づくにしたがって
この物語がただ穏やかなものではないことを知る。
光輪と羽を持つ灰羽と言う存在を見た時にまず考えたのが
この世界は死んだ魂が行く場所!?ってイメージだった。
と言うか最後までそのイメージで見てたけどね。
実際のところこのグリの街とは何なのか、灰羽とは何なのか、
作品中ではハッキリとした答えは提示されなかったけど。
見る人が自由に解釈したらいい、というコトなのかなと。
だから以降に書く内容はあくまでも私的な解釈になります。
6話でクウの巣立ちという展開が出てくる。
物語の中では(出れない)壁を越え旅立つと言うけど
その瞬間に光が空に上っていくというビジュアルから
時が来て準備が整った魂が「生まれ変わる」って感じたり。
光輪を置いていくというのも実にそれっぽいのでした。
クウの巣立ち(よーするに別れでもある)が信じられなくて
ラッカたちは迷うと出られない西の森に入っていく。
(西の森の中に巣立つ時に行くといわれる遺跡がある)
帰りの目印にと直したばかりで動かすと鳴りっぱなしの
オールドホームの時計塔の鐘を鳴らした(鳴らし続けた)。
クウの行ってしまった場所に立つみんなの上に響く鐘の音。
それはまるで葬送の鐘のようだったよ。
クウが行ってしまった悲しみにくれるラッカに新たな異変が。
羽に黒い染みのようなものが現れ次第に増え始める。
最初は病気だと思ってたけど、それは罪つきの印だった。
そしてレキの本当の羽の色を知ることになる。
最後にレキが繭の中で見た夢の真の姿を知った時、
繭の中で見た夢がやっぱり死因のような気がするなと思ったよ。
だって宗教的には自殺は罪が重いって考えかたがあるじゃない。
罪の輪に囚われる限り巣立ちが訪れないという概念も
罪を贖って軽くならないと輪廻の輪から外れるって意味だし。
と言うことはラッカは飛び降り自殺でもしようとしたのかな?
それをラッカの近しい誰かが必死で助けようとしたのだろうか。
この作品は最初淡々と世界と生活だけを描いていて
まさか最後までこのままってコトはないよなとは思ってた。
最後までその展開だと作品としてさすがにどーかと思うし。
クウの巣立ちのエピソードが有って物語が動き始めて
これは最後にもう一度誰かが巣立つのかなとも思った。
ただ同じコトを2度やるとショックはずっと小さいわけで。
そんなことを考えながらラストが近づいてくる。
どーやらもうひとり別れが来るのは間違いないようだった。
ただそれが巣立ちとは限らない展開だったのだけど。
そう。巣立ちの時を迎えるまでに罪の輪から抜け出せないと
灰羽でも人でも無い存在になってしまう。のだそうな。
巣立ちもイヤだけど、でも巣立ちを迎えられないのもイヤ。
ラッカにとってどちらも選びたくない2択しかなかった。
ラストの直前。
もうすぐ別れが有るのだとヒシヒシと感じるようになる。
この予感はクウとの別れがあったから余計に実感するのだった。
あの時はただ漠然とした不安だったけど
今回は近いうちにそれが間違いなく来ることを知ってるから。
クウが先に行ってしまったのはつまりそーいう意味だったのか。
クライマックス。
レキの夢の真の姿が出てくる部分。
序盤の穏やかな展開からは想像もできないようなシーン。
ここはさすがに圧巻だったよ。
この瞬間を描くためにこの作品はある言っても過言ではないぐらい。
それほど重要であり、魂を揺さぶるシーンでありました。
(重大なネタバレになるので詳しくコトは書きませんが)
そんなわけで
いい作品でした。
この作品に出会えて幸せだと思った。
(これは最大級の賛辞だと思ってくれて結構)
心のひだに染み入り、魂を揺さぶられたよ。
3巻だけいきなり買っちゃったけど結果オーライだった。
頑張って他の巻も集めてみるかな。
そうそう。
実際に見た人ならなんとなく分かると思うけど
この作品ってよーするにイメージの世界なのです。
いわゆる空想世界というより概念世界というか。
「天使のたまご」の世界観が近いと言えば理解しやすいかな?
と言っても「天使のたまご」って押井さんの作品の中でも
あまり知名度はない方だから、余計わからないか(汗)。
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